三日目 ~ラストデイ~
今日が最終日か。特に実感はわかないな。
いつも通りに目覚め、いつもの様に朝の準備を整える。
そこで、テーブルに置かれた、ラッピングされている小包が目に入る。
「誕生日か……」
確か、次の誕生日までは結構あったよな。
最後に祝われたのは、いつだったか。
誰にも話していないし、話す必要もないので、知ってるやつは少ない上に自分の誕生日なんて気にした記憶もないな。
「さて、今日はどうするか」
休日なために大学もない。
最後の日という割には、彼女の誕生日以外は何もない日だ。
「ん?」
朝食を終え、食器も洗い、特になにもすることなくなってしまったところに、隣の部屋から扉が閉じる音が聞こえてくる。
朝と言ってもまだ早い時間。それなのに、この時間から家を出るというのは、少し気になった。
「どうかしたのか? こんなに早くに」
「寿樹君!?」
「なぜそんなに驚く……」
「う、ううん何でもないよ! ちょっと買い出しに――」
「買い出しって、一昨日結構な量の食材を商店街の人たちからもらっただろ」
「そう、だね」
「いや、別に攻めてるわけじゃないし、それに無理に聞くつもりもないから、引き留めてすまなかったな」
「う、ううん。大丈夫」
「そうか」
なんとなく、気まずい雰囲気になってしまった。
いや、まぁこれはこっちが悪いんだけどさ。
そのまま挨拶だけすると、彼女はどこかへ行った。
「さて、どうしようかね」
「お、寿樹ちょうどいいところに」
おうふ、大家さんに見つかった。
「なんだい、その嫌そうな顔は?」
「べつになんでもありませんよ?」
「そうか、じゃあ小遣い出してやるから、ちょっと酒とつまみ買ってきて」
「はぁ。わかりましたよ。一応、準備もありますから、用意が出来たらそちらに行きます」
「あいよ」
詰まった……ここに来て完全に詰まった……。




