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(番外編2)あなたの側で

「やーいばかぢからー!」

「あっちいけよー」


 やだ。そんなこと言わないで。わたしも皆とあそびたいよ


「ねぇ。なかまにいれてよぉ」

「やだよ。おまえすぐにボールこわすし」

「そうだそうだ。おまえといたらケガするしイヤなんだよ。あっちいけよ」


 そう言って肩をどんっとおされた。

 カッとなって押し返したらぽーんっと飛んでいって、池におちちゃった。


 あわててかけよったら、ずぶぬれで泣きながらこっちをにらんでいた。


「ごめんねっ! だいじょうぶ?」


 

「っっだいじょうぶじゃねえよ! ばけもの」

 

 



  * * * * * * *


 


 

「リーンちゃん、気にしちゃだめだよぉ」

「っっ、ひっく……もぉやだよお……こんな力いらないよぉっ。わたしもアリアちゃんみたいにキラキラなのがいいよぉ……」


 アリアちゃんはかわいくて、きれいで、お水の力もキラキラの力もきれい。全部がうらやましい。


 わたしなんて、力が強いだけ。

 それもうまく使えなくて、人にケガさせちゃったり、物をこわしちゃったり。そんなことばかりでイヤになる。


 わたしはひとりになりたくなった。だからお庭のすみっこに行って、ひとりで泣いていた。

 


「リーン。こんなとこでどしたのー?」

「……エルさん」

「なにかあったー?」


 エルさんが、心配そうなかおで上からのぞきこむ。

 

「もういやなの。こんな力やなの」


 力をおさえることがうまくできない。誰もきずつけたくないのに、きずつけちゃう。


「リーンは力が強いのがイヤ?」

「うん。わたしもアリアちゃんみたいに、きれいでかわいいのがいいの」

 

 こんな力いらない。

 人をきずつけるだけの力なんていらない。

 

「そっか。オレ、リーンの力好きだよー」

「すき? なんで?」

 

 わたしはきらい。みんなもきらいって言ってくる。わたしと一緒にいるとひどい目にあうっていって、みんな仲良くしてくれない。


「だってさーカッコいいよー。力が強かったら困ってる人を助けることができるんだよー。それにリーンはもうかわいいは持ってるでしょ? だから、かわいくてカッコいくて最強なんだよー。オレ好きだよー」



「……ほんとに?」

「うん。ほんとだよー。今はまだ難しくても、がんばったら制御できるようになるからねぇ。力の制御はオレと一緒にがんばろぉ」

「……でも、わたしといたらケガしちゃうよ?」

「だいじょぶだよー。だってオレ、サイキョーだからねぇ。だから一緒にいられるよー」


 そっか。エルさん強いから、だいじょうぶなんだ。それならいいのかな。


「……うん」


 返事をすると、エルさんはわたしの頭をなでてくれた。



 エルさんは、わたしが力のかげんができなくてケガさせちゃっても、怒らなかった。


「だいじょぶだよー。オレこんなケガすぐになおせちゃうからねぇ、ほら」

「わぁ! もうきえちゃった」


 わたしが誰かをきずつけちゃっても、すぐに治してくれた。


「いつでも呼んでね。リーンだからトクベツだよー」

「うん……ありがと」

「どういたしましてぇ」


 なにか物をこわしちゃっても怒らなかった。


「すごいねぇ。こんなに硬いの壊せちゃうなんて、さすがだねー。あ、そうだ。これ細かくできる?」

「うん、できるよ」

「わー、ありがとうねー」


 重いものをもって困っていたから、運んであげた。そうしたらすごくほめてくれた。


「助かるよ、ありがとねー。リーンは優しいねぇ。やっぱりかわいくてカッコいいは最強だねぇ」

「えへへ……」

 


 エルさんの言葉がわたしを強くしていった。



 

  * * * * * * *

 



 白狼様が山を破壊してしまい、S級魔道具士でS級薬士であるエルさんが東聖領に行くことに決まった。


 私も彼をサポートするために一緒に行ってもらえないかと、ライアンさんに頼まれた。

 もちろん喜んで、と答えた。


 頼まれていなくても、一緒に行きたいと申し出ていただろう。

 だって、エルさんの力になることが私の生き甲斐だもん。


 エルさんは夜にダンジョンに行っていると知った時、お腹がすいた時にさっと食べられるようなものを渡したいなと思った。

 だから厨房に行って、料理長に教えてもらいながらパウンドケーキを作って渡したら、すごく喜んでくれた。


 次の日に、すごくおいしかったよ、って言ってくれて。

 嬉しくて、その日から頑張っていろいろな料理を覚えた。

 それが今すごく役立っている。


 掃除、洗濯、料理、接客、素材集め。

 いろんなことで役に立てて、褒めてもらえる。それがすごく嬉しい。




  * * *




「リーン、それじゃコレ運んでくれるー?」

「了解です」



 エルさんが作った巨大スクリーンのパネルを両手にたくさん担いで、闘技場まで運んでいく。

 町行く人達はぎょっとした顔で見てきた。


 視線は全く気にならない。私は人の役に立てることを誇りに思うから。


「リーンは頼りになるねぇ。やっぱりかわいくてカッコいいは最強だねぇ」

「えへへ……」

 


 その言葉だけで、いくらでも頑張れるんだ。


 あなたがいてくれるから、私はどこまでも強くなれる。

 

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