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黒龍討伐

 被害を最小限におさえるため、広い草原にて黒龍を待つ。

 アルトさんとエル兄さまは、上空に逃げられた時に対処できるよう力を温存するため、離れたところで待機している。


 しばらく待つと遠くの空に一つの黒い影が現れた。


「来たぁー!」


 カイルさんが叫ぶ。

 黒龍はカイルさんとルルさん目掛け、猛スピードで一直線に向かってくる。


 スゥーー……


 口を開け、大きく息を吸う。咆哮をあげられる前に、ラドクリフさんが黒龍の目の前に大きな土の壁を出現させた。


『ガァッッ!!』


 黒龍は避けきれずそのまま激突、壁は粉々に崩れた。衝撃で勢いが落ちる。


 パキパキパキッ


 私は口を凍らせ咆哮を封じた。私とラドクリフさんは動きを封じながら戦う。

 黒龍の力は凄まじく、凍らせ続けるだけで多量の魔力を必要とした。


 ルルさんと騎士団長ダリウスさんはひたすら攻撃に徹する。二人とも身体強化の使い手だ。


 カイルさんは黒龍の懐に飛び込み、炎を纏わせた大剣で胸元を切りつけていく。


『グルウッッ!』


 黒龍が尾を振り回す。

 私とダリウスさんは避けきれず、まともに当たり吹き飛ばされた。


「──っっ……!」

 

 凄まじい痛みで歯を食い縛る。左手と左足の骨が砕けたようだ。右手を使って急いでポーションを飲む。


 その間に口を封じていた氷を砕かれた。


『グォオォォォッ』

 

 咆哮をあげられ、皆の体が硬直する。

 カイルさんは蹴飛ばされ、ルルさんとラドクリフさんが爪に引き裂かれた。


 私は再び口を凍らせ、氷の槍を放ち黒龍の右目を貫いた。振り上た爪に切り裂かれ、すぐにポーションで回復する。

 ラドクリフさんが土魔法で黒龍の足元を固め動けなくし、ダリウスさんが右目を拳で破壊した。


『──グゥッッ!!』


 両目が見えなくなった黒龍は、翼で風を起こし皆を吹き飛ばした。そして足元の拘束を壊し、上空へと飛び上る。


「エル兄さま! アルトさん!」


 吹き飛ばされながら私は叫んだ。



 すぐさまアルトさんが飛び立ち、風の刃をいくつも放ち黒龍の体を切りつけていく。

 エル兄さまは黒龍の背後に転移し、落下しながらも聖魔法を放ち後頭部に当てた。


『グゥゥゥッ』


 黒龍は動きを止め、うめき声をあげた。

 魔獣にとって聖魔法は毒のような物なので、弱っている体にはよく効いているようだ。


 アルトさんが風の矢を放ち、黒龍の胸を何度も突き刺す。

 エル兄さまは落下しながら再び転移し、黒龍の背後に。

 大きな黒い球体を出現させる。

 動きを止めたままの黒龍に当てることができ、翼の付け根が消滅した。


 翼を失った黒龍が落ちる。


 ズズーーン


 轟音と共に地上に叩きつけられたところを全員で攻撃。黒龍がまともに動けなくなったところで、エル兄さまは皆を後ろに下がらせた。そして大きな円盤状の闇魔法を放つ。


 ザンッ


 黒龍の首は切り落とされた。

 



「…………やっ、たぁ……倒した」


 カイルさんが震えた声で言った。





  * * * * * * *

 



 

 無事、黒龍の討伐が完了し、皆でギルドに戻った。


 ギルドの前では大勢の冒険者達が心配しながら待っていた。ラドクリフさんが討伐成功を告げると、一斉に歓喜の声があがる。


「アリアちゃんっお疲れさま!」


 私は待っていたリーンちゃんに抱きつかれながら一緒に喜んだ。


 疲れてへとへとなので、そのまま三人で店に帰った。しばらく座り込んだ後、シャワーを浴びて汚れを落とす。


 その後は居間に行き、リーンちゃんが淹れてくれた紅茶を飲んでホッと一息ついた。

 魔力を使いすぎて体がだるい。

 

「疲れた……ちょっと仮眠を取ってきてもいい?」

「もちろんだよ! 今日はもうゆっくり休んで」


 リーンちゃんがそう言ってくれたので、部屋へと行く。ベッドに横になるとすぐに睡魔に襲われた。



 目を覚ました時には、もう窓の外は暗くなっていた。




「おはよう。体は大丈夫?」


 居間に行くと、なぜかアルトさんの姿があった。


「こんばんは。すごく疲れたので寝過ぎちゃいました。いっぱい寝たからもう元気ですよ」


「そっか、よかった。食欲ある? カイルさんとルルさんが、皆でご飯に行かないかって。リーンちゃんとエルさんも誘ってみたけど、エルさんには断られちゃったよ。リーンちゃんもエルさんと一緒に食べるから行かないってさ」


「エル兄さまは大人数で食事をするのが苦手なので、仕方がないですね。私は一緒に行きたいです。朝食べたっきりなのでお腹ぺこぺこです」


 いつお腹がなってもおかしくない状態だ。お願いだから、今はならないでほしい。


「それじゃ、待ってるから準備してきて」

「はい」


 部屋に戻り着替えを急ぐ。ズボンとシャツを着て、ローブを身に付ける。必要な物はポケットに入れた。

 ルルさんの知り合いのお店の個室で食べられるそうなので、魔道具は付けなかった。


「お待たせしました」

「それじゃ行こっか」

「はいっ」


 アルトさんと一緒に歩いて店へと向かった。


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