いいひと連合:顛末
この一件が落ち着いた後、オレはチームから疎まれるかと思っていたが逆だった。
むしろ、技術を教えて欲しい、仕事のやり方を教えて欲しい等とせがまれる。
裏でこっそり、「あの、ぬるい仕事のやり方は、自分も良くないと感じていた」等とお礼を言われることもあった。
そして、この職場の行き過ぎたホワイト傾向は薄れていった。
「結果、良かったんだと思います」
と、七海が言った。
「みんな和泉さんに遠慮していた所あったし、やっぱり、こういうレガシーシステムを扱っていると、知識のある人にヘソ曲げられたら何も出来ないですからね」
他の人間に話しても、異口同音に、行き過ぎたホワイト文化は、和泉に誘導されたものだという共通認識になっている。
しかし、どうも手放しでは喜べない。
本当にそうなのだろうか?
だとしたら、人とはなんと脆いのだろう。たった一人の影響でチームがここまで影響されてしまうのだから。
しかも、今回の和泉の主張の一つ一つは間違いではない。どこの職場でも当たり前に交わされる範囲内の内容でしかなく、先のキラービーのような異常性は無かった。
諸々終わってみても、これはネイムの影響だったと言い切れない自分がいる。
七海の言った「チームでは知識のある人に皆がすり寄る」という言葉が頭の片隅に引っかかる。
この職場で現在、オレが和泉の立場になっているのだとしたら厄介だ。
もっと言えば、前の職場をあんなにしたのは、小川ネイムではなく、オレだったのだろうか??
これは今後、どう自戒していったらいいのだろう?
ベーグルに話してみようかとも思ったが、なんとなくアイツは、おあつらえ向きの答えを持っていそうなので聞くのはやめた。
今、それを聞いてしまったら、オレは簡単にその意見に染まってしまうかもしれない。
今の違和感を大事にしたい。違和感がある以上、人の意見に染まってはいけない気がする。
ここはバランスを崩したくない。
あの重装備で身動きが取れなくなった和泉ネイムの姿が、頭から離れないのだ。
ーーいいひと連合 完ーー
お読みいただきありがとうございます。
この後も、同じぐらいの章(中編)の連作という形で続いていきますので、良かったらまたお読みいただければと思います。




