043【白龍の攻撃】
〖神暦 3240年 4月 9日〗
日記の筆者「テオ」
場所「魔導天界国ヴェルトラオム」
状況を整理しよう。
まず、村長から『風に関する魔術の書』を貰い、龍の村へ行った。
次に、小さな龍の言う、龍球を門にはめ込む。
すると、その門が僕たちを吸込み、気がついたら、ここにいた。
つまりは…事故か?
「ねぇお兄ちゃん。空、みて。」
アリスが上を指さす。
「うん?」
僕は、上をみあげた。
すると、その空のはるか高く、大きな龍が、優雅にとんでいた。
「白龍…?」
僕は、無意識に呟く。
「…だよね。」
アリスが頷く。
…けど、白龍が、どうしてここにいる?
僕は、息をすぅっと吸込み、叫んだ。
「白龍さん!!!」
と、
すると、白龍はこちらにゆっくりと、顔を向けまた戻した。
シュュュュ
大きな魔法陣が、こちらを向いて現れた。
えっ?
シュン シュン シュン
光の矢が、放たれた。
「[防…」
僕の口が動く前に、アリスが動いた。
「[鋼玉壁]!」
青い壁が現れ、光の矢を跳ね返した。
「攻撃…された?」
僕は、あっけにとられ、立ちすくんだ。
「お兄ちゃん、あれ、白龍じゃない。」
アリスが僕の手を引っ張り、建物の中に引き寄せながら言う。
「多分、白龍の複製体か、なんかだと思う。」
「複製体?」
「うん『意識』が無いみたい。 意識の器ですら、無いから、操られているとかじゃない。」
アリスが窓の奥に見える白龍に目をやる。
ゴォォォォ
言葉では言い表せない、鉄工場で鳴っているような音が聞こえた。
白龍の鳴き声だ。
「鋼玉壁」!!!」
アリスが叫び、窓の奥に青い壁を形成した。
ギィィィィ
硬い物同士が、ぶつかる音がした。
僕は、恐る恐る窓を覗くと、そこに白龍が、いた。
白龍が、いた
目の前に。
「ヒッ」
僕は、思わず声を上げる。
「お兄ちゃん…」
アリスが、疲れた声で呟く。
「あのさ… ワタシが何分か魔法で白竜の動きを止めるから… ここから500mくらいまで離れたところまでワタシを抱えて走れる?」
「…解った。 やってみる。」
アリスの言葉を信じるしかない。
「OK。 じゃ[硝子之支配者]!!!」
パリン!!!
アリスの声と同時に、大量のガラスが割れる音がした。
ジャァ
ガラスがこすれ合わさる音がした。
「さ、さっさと逃げるわよ!」
アリスが言う。
僕は、咄嗟にアリスをお姫様抱っこし、走り出した。




