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テオとイズの冒険日記  作者: モードー
日記帳一冊目【無理なお使い】
21/35

020【移動手段の革命】

〖神暦 3240年 4月8日〗

日記の筆者『イズ』

場所「ウェイタ飛空場」



「わぁ…」


私は、目の前にある大きなガラス扉の『押してください』のボタンをツンと叩いた。


ピー


電子音がしたかと思うと、その扉が開いた。


「なにこれ? 魔法?」


「いや、科学だ。上の超音波センサーで僕たちのことを感知して、モーターで扉を動かしているんだよ。」


テオが説明してくれた。

超音波センサー?

モーター?

なんだそれ。


科学のことは私には一切解らない。


「行こう!」


テオが私の手を引っ張った。



中に入ると、そこは驚きの世界だった。

近未来的な飛空場。

天井が高く、窓が大きく、おまけに天井に液晶版モニターがつるされている。

受付カウンターが何個もあり、小さな店がもいっぱいある。

360°キラッキラ。


「こ、ここ何?」

「何って…飛空場だよ。」

「それは知ってるよ! そうじゃなくて、何なのよここ! すごすぎるじゃない!」


窓の奥には、二機の飛空艇と、テオの言っていた『飛行機』が五、六機ほど見える。


「あの長い道路何?」


私は奥に見える、長い道路を指さす。


「滑走路だよ。」

「んだそれ?」

「飛行機を飛ばすために、一度長い道路で加速するの。そのための道路。」

「…魔法で言う、加速管?」

「ま、そんな感じ。」


…ここまで説明されても、あんな大きな白い物体が、球皮バルーンも無しに飛ぶなんて…

白い、白…はく…あ、、


「ああああああ!!!!!!」


私の叫び声が飛空場に響き渡る。


忘れてた!!!


白龍!


「ちょ、シー」


テオが私の口をふさいだ。


「もごもごもごもご。(白龍のこと、忘れてた)」

「何て?」


テオが周りの人に「ごめんなさい。」といい、私に喋った内容を尋ねた。


「もごもごもご。(しゃべりたくても、口ふさいでるから、喋れないのよ!)」

「…あぁ、忘れてた。」

「プハッ…白龍!」

「白龍? あ、…白龍!」


テオが叫びそうになったが、どうにか飲み込んだ。


「完全にど忘れしてたわね。」


「スースー」


テオが考え込み、歯の隙間から息をする音が聞こえる。


「まぁいいか。 バター高原で出してあげよう。」


テオが開き直った。


「…そうそうイズ、昨日ギルマスがさ、飛空艇のチケットを予約してくれたんだよ。」

「マジか、ギルマス神さま? けど、飛行機乗りたかったな~」

「ねぇイズ、飛行機の値段知ってる? 金貨1枚と銀貨50枚だよ?高すぎるよ。」

「…金貨1.5枚…高い。」

「けど、その代わり飛行機はもすごく早くて安全。」

「…飛空艇でいいや。安くて銀貨20枚、高くて80枚くらいで済むものね~」


『ピンポンパンポン 7番ゲートの「バター高原行き、サンダーセイル736」の受付を開始します。』


天井らへんから、女性の声が聞こえた。

魔力は感じないから魔法ではない。

科学か?


「あ、イズ、この船だよ。早く7番ゲート行こう。」


「は~い。」




数分後




「ここか?」


大きく7と書かれた看板を見つけた。


その近くの窓の奥には、少し小さめの飛空船が停泊しているのが見える。


飛空船の大きな特徴は二つだ。

一つめは、船の帆の代わりに付いた皮球バルーン

大抵細長い形状をしているが、この飛空船はバター高原という高い所を目指すので、高度を上げるのに特化したまん丸の形をしている。


もう一つは、プロペラが付いていることだ。

船の前方と後方に二つずつ、計四つ付いている。

これは船の進む方向を決める重要なものだ。


「すいませーん。バター高原行きの飛空艇乗り場ってここですよね?」


テオが受付のお姉さんに質問した。


「そうですよ。」

「あ、じゃあ…どうすればいいんだ?」


テオが人差し指と親指を顎に当てた。

…いつもなら、チケットの紙が手元にあるのだが、今は違う。

確かにどうすればいいのだろう。


「…チケットがないから入れてって言ったら入れてくれる?」


私は受付のお姉さんに尋ねた。

恐らく答えはNOだろう。


「ちょっとそれはルール上難しいわねぇ…」


…どうしよう…よし、ギルマスを頼ろう。


私はギルマスに電話テレパシーをかけた。

「もしもし?もしもし?」


まぁすぐに出るわけはないか…


『ん?なんだ?イズか?』


おお、出た。ギルマスだ。


「あのさ、チケットがないから入れないんだよ。」

『…どこに?』

「ああ、言ってなかった、飛空場でね、いまから飛空艇に乗るんだけど…」

『チケットがないから乗れないと、…じゃあ受け受けの人にこの通話が聞こえるようにして。』

「は~い。」


私はその通話を、半径5m以内の人に全員聞こえるようにした。


『あ~もしもし?係員さん?』


魔法越しギルマスが受付のお姉さんを読んだ。


「なんでしょう?」

『俺だ、ギルマスだ。』

「…?ギルマスさんがどうして?」


…なるほど、飛空場は大抵、冒険者組合ギルドが管理してる。

まぁ、だから、なんやかんやで特権が使えるということか?


『その飛空艇のA―3、4の席が予約されているだろう?』


ギルマスが言い、受付のお姉さんがモニターを触った。


「…ええ。」

『その予約した人の名前がクロキになってるか?』

「ええ、」

『で、パスワードが33492640、あってるか?』

「ええ、」

『俺がこの子たちのために予約した席だ。』

「なるほど…」

『あ、時間だ、またな!』


電話テレパシーがブツっと切れた。


「なるほど…そういうことね、わかったわ。入っていいよ。」


受付のお姉さんが言った。

と、同時に窓の奥に見える飛空艇の球皮バルーンの根元がピカリと光ったように見えた。


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