【20話】強い誓い
オフェリアとアディールは、王宮へと帰る馬車に乗る。
「今日は楽しめたか?」
対面からの問いは、不安そうだった。
男性に絡まれたというトラブルが、その原因だろう。
でもオフェリアは、あれがあって良かったと思っている。
そのおかげで、こうして自分の気持ちと向き合えたのだから。
「とても楽しめました。全部アディール様のおかげです」
「よかった」
アディールはホッと息をつく。
楽しめた、という答えを聞けて、一安心してくれたのだろう。
アディールはなによりもまず、オフェリアのことを第一に考えてくれていた。
自分のことなんて後回しだ。
「本当に素敵な人。元婚約者とは大違い」
ボソッとオフェリアの口から漏れる。
アディールへの気持ちが溢れるあまり、いつぞやのときみたく思ったことをそのまま言ってしまった。
「元婚約者?」
アディールはそう言うと、すぐにハッとした。
バツが悪そうな表情になる。
「すまない。少し気になっただけだ。無理に聞く気はないから安心してくれ」
「いえ、謝ることはありません。……アディール様、よければ聞いてくださいませんか?」
アディールはオフェリアを大事にしてくれている。
だから彼には、すべてを聞いてほしかった。
以前は隣国のラグドア王国にいたこと。
大天使の加護という特別な力を持っているがために、第一王子のルブリオと婚約していたこと。
でもルブリオは他の女性に乗り換えるためにオフェリアを婚約破棄し、さらには国外追放処分を下したこと。
それが原因でオフェリアはレシリオン王国へきたこと。
そのすべてを隠さずに伝えた。
「なんてひどい男だ! 他の女性に乗り換えるために君を婚約破棄し、さらに国外追放しただと! 第一王子とやらはどうかしている!!」
アディールが上がったのは、まっすぐでそれでいてとっても激しい怒り。
こんなにも感情をむき出しにしているアディールを見たのは、これが初めてかもしれない。
オフェリアはそのことが嬉しかった。
アディールがこんなにも怒っているのは誰のためか。それはオフェリアのためだ。
それだけ彼は、大切に思っていてくれている。
熱い感情が体の中にいっぱいになっていく。
気持ちがとまらない。
「俺は君を悲しませるようなことは絶対にしない! 今ここに誓おう!」
身を乗り出したアディールが、オフェリアの両手をギュッと握った。
その言葉には確かな覚悟と強い意志が宿っていた。
オフェリアの瞳から涙がこぼれる。
でもその口元は、大きな笑みが浮かんでいた。
好きに人にそう言ってもらえた。
こんなにも幸せなことはない。
「お願いします!」
気持ちをこめて言葉にする。
アディールに負けないくらいの、ありったけの気持ちをこめた。




