第56話:帝国軍侵攻1
ここはイタリカ王国西部の荒れ地、ガルム荒野ほどひどくはないが、土地はやせており、雑穀や芋くらいしか取れないところだ。
しかしそんなところでも農民はいて、畑仕事にいそしんでいた。
西のかなたに砂埃が見えた。
「ありゃ、なんじゃのう」
「砂嵐かなあ」
「この季節にか」
「うーん、だんだん近づいてくるような」
近づいてみると、それは軍勢だった。それも途方もなく大勢の。
「あれは、帝国軍じゃ、また攻めてきたんだ」
「とんでもない人数だぞ」
「砦の兵士に教えに行くぞ」
「ああ、逃げよう」
イタリカ王国に激震が走った。
各国に救援要請を出したのち、王宮と全軍が即座に首都を捨て、バリス砦に避難した。
その時、王都に衝撃が走った。王の間に伝令が駆け込んできたのだ。
「伝令、伝令です」
「何事か」グロッサーが問いただした。
「イタリカ王国より伝令です。帝国軍がイタリカ王国に侵攻しました」
「またか、性懲りもない奴らだ」
「それが、今回は20万を超える大軍だとのことです」
そこにいた全員が戦慄した。20万だと、想像を絶する大軍だぞ
「前回は威力偵察だったのか」グロッサーがつぶやいた。
「3万で、威力偵察か」
「かの国ではそうなのでしょう。前回の戦いで、こちらの手の内は分かられたとみるべきでしょう」
「兵站部隊への攻撃も、騎兵を巧みに使った攻撃も知られ、研究されていると思います。何らかの対策はとられているとみるべきで、同じ攻撃は無駄でしょう」
「ウソウには巨大な補給基地が作られ、前回攻撃に使った丘には見張り台が作らられるでしょう。さらに斥候が頻繁に放たれるでしょう」
「騎兵の攻撃も予測されていると考えるべきです。敵も多数の騎兵を揃えてきていると考えるべきです」




