表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
好きなら、言ってよ。  作者: ともり。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/35

第二十四話 いなくなる

# 第二十四話 いなくなる


次の日。


にちかは、ほとんど眠れないまま会社へ向かった。


昨日のLINE。


送れなかった言葉。


【俺は かずまのこと】


途中で止まったままのメッセージ。


あれを見て、かずまは何を思っただろう。


期待しただろうか。


呆れただろうか。


もう疲れただろうか。


考えるほど、胸が苦しくなる。


 


フロアへ入る。


無意識に、隣の席を見る。


……いない。


心臓が跳ねた。


まだ始業前なのに、嫌な予感がする。


 


「おはようございます」


先輩が入ってくる。


にちかは思わず聞いていた。


「……かずま、は」


「あー、今日午前休だって」


少しだけ安心する。


でも。


その直後。


「なんか転職活動してるらしいよ」


世界が止まった気がした。


「……え」


声がうまく出ない。


先輩は何気ない様子で続ける。


「まだ決まったわけじゃないっぽいけど」


「結構前から動いてたみたい」


頭が真っ白になる。


聞いてない。


そんな話、一度も。


 


午前中。


仕事なんて全然頭に入らなかった。


転職。


その言葉だけが、ぐるぐる回る。


いなくなる。


かずまが。


隣から。


毎日いた場所から。


 


どうして言ってくれなかったんだろう。


そう思った瞬間。


違う、と気づく。


言えなかったのは、自分も同じだ。


かずまだって。


何度も何度も、気持ちを伝えようとしてくれていた。


でも自分は、全部止めていた。


 


昼前。


フロアの扉が開く。


「おはよー」


聞き慣れた声。


反射的に顔を上げる。


かずまだった。


いつも通りの笑顔。


でも。


にちかの胸は、全然落ち着かなかった。


かずまは席へ座ると、普通に仕事の準備を始める。


転職の話なんて、何もないみたいに。


 


気づけば。


にちかは立ち上がっていた。


「……かずま」


声が震える。


かずまが少し驚いた顔でこちらを見る。


「ん?」


喉が詰まる。


怖い。


でも。


今聞かなきゃ、絶対後悔する。


にちかは唇を噛んで、小さく言った。


「……転職、するんですか」


その瞬間。


かずまの表情が、少しだけ止まった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ