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好きなら、言ってよ。  作者: ともり。


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第二十二話 怖い

# 第二十二話 怖い


「だって俺、前よりもっと好きになってるから」


その言葉が、頭から離れなかった。


定食屋を出たあとも。


午後の仕事中も。


帰宅したあとも。


何度も、何度も思い出してしまう。


好きになってる。


かずまが、自分を。


そんなの。


嬉しいに決まってる。


なのに。


どうしてこんなに苦しいんだろう。


 


夜。


ベッドへ座ったまま、にちかはスマホを見つめていた。


かずまとのLINE。


今日は、まだ何も来ていない。


前なら。


かずまの方から話しかけてくれていた。


でも最近は違う。


多分、待っている。


自分から来るのを。


ちゃんと返してくれるのを。


「……返したいのに」


小さく呟く。


返したい。


本当は。


好きって言いたい。


一緒にいたい。


他の人のところへ行かないでって。


でも。


もし、全部変わってしまったら。


 


にちかは昔からそうだった。


仲良くなるほど怖くなる。


大事になるほど、失うのが怖くなる。


だから、自分から距離を取る。


傷つく前に。


嫌われる前に。


終わる前に。


 


スマホが震える。


心臓が跳ねる。


【今日、ありがとな】


かずまからだった。


たったそれだけで、胸が熱くなる。


にちかは何度も文字を打っては消した。


【こちらこそ】


違う。


【嬉しかったです】


重い。


【俺も好きです】


……無理。


指が止まる。


送れない。


すると、また通知が来た。


【名前呼ばれたの、結構嬉しかった】


思わず息を止める。


そんなこと言われたら。


また期待してしまう。


【……慣れてないので】


やっとそれだけ返す。


既読。


すぐ返信。


【知ってる笑】


少しだけ、いつもの空気が戻る。


それが嬉しくて。


苦しい。


 


数秒後。


また通知が来た。


【にちか】


名前だけ。


胸がざわつく。


【はい】


送る。


既読。


少し間が空く。


その数秒が、妙に長い。


そして。


【俺さ、待つの結構限界かも】


その一文を見た瞬間。


にちかの呼吸が止まった。


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