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好きなら、言ってよ。  作者: ともり。


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第十五話 付き合ってるの?

# 第十五話 付き合ってるの?


「……で、結局お前らって付き合ってんの?」


昼休み。


その一言で、空気が止まった。


言ったのは、隣の席の先輩だった。


「いつも一緒いるし」


「距離感おかしいし」


「仲良すぎじゃね?」


周囲が面白そうに笑う。


にちかの心臓が、一気に嫌な音を立てた。


やめてほしい。


そんなふうに言われたら。


意識してるのが全部バレそうで怖い。


「いやいや」


かずまが笑いながら手を振る。


「ただの同期っすよ」


その言葉に、胸が少し痛む。


当然だ。


そう答えるしかない。


でも。


「え〜? 二人だけ空気違うじゃん」


「わかる」


「にちかくん、かずまいる時だけ表情柔らかいし」


次々飛んでくる言葉に、にちかは耐えきれなくなる。


「……違います」


思ったより強い声が出た。


周囲が少し静かになる。


「え、そんな否定しなくても」


先輩が苦笑する。


でも、止まらなかった。


「ほんとに、そういうのじゃないので」


空気が少しだけ冷える。


しまった。


そう思った時には遅かった。


隣を見る。


かずまは笑っていた。


でも。


目だけ、少し寂しそうだった。


「……はいはい、解散解散」


かずまが空気を戻すみたいに笑う。


「にちか、人前だとこういうの無理なんで」


「え〜、照れてるだけじゃなくて?」


「違います」


また、即答してしまった。


今度こそ。


かずまの笑顔が、ほんの少し止まった。


 


昼休みのあと。


にちかは資料室へ逃げ込んでいた。


最低だ。


また傷つけた。


本当は違う。


“そういうのじゃない”んじゃない。


むしろ、そうであってほしいのに。


怖くなると、否定してしまう。


好きなのに。


誰より特別なのに。


「……何やってるんだろ」


小さく呟いた瞬間。


後ろで扉が開く音がした。


「いた」


かずま。


にちかは反射的に視線を逸らす。


「……すみません」


また謝ってしまう。


かずまは数秒黙ったあと、小さく笑った。


「最近、それ聞き飽きた」


責める口調じゃなかった。


でも。


少し疲れているように聞こえた。


その声に、胸が締め付けられる。


「俺さ」


かずまが棚へ寄りかかる。


「人前で否定されるの、結構くる」


息が止まる。


「違うんです」


「うん。にちかは、怖いんだよな」


その理解したような言い方が、余計に苦しい。


かずまは視線を落としたまま、小さく笑った。


「でも、ちょっとは期待してた」


その言葉が、にちかの胸へ深く刺さった。


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