幼女王の花都(1)
「魔晶石一つで夢が叶うはずだった——しかし、世界はいつも代償を求める。」
幻惑の花都エンヴィリアでは、四天王の一人、魅惑の女王リリアーナが統治していた。
彼女は銀色の長い髪と完璧なプロポーションを持つ絶世の美女で、魔族も人間も一目見ただけで心を奪われた。
リリアーナは自身の美貌をさらに高めるため、特別な魔晶石を使って「永遠の魅惑の花冠」を作った。それは被る者の美しさを極限まで高め、周囲の忠誠と欲望を一瞬で掴む力を持つものだった。
リリアーナは満足した。これで私の支配は完璧になる。
花都の貴族魔族たちは冠を見上げてため息をついた。女王はますます輝いている。
下級の花妖たちは冠の香りに酔い、忠実に働いた。
捕らえた人間の騎士たちは、女王の姿を見るだけで武器を捨てた。
花冠はすぐにリリアーナの頭に載せられた。
彼女の美しさはさらに増し、街全体が甘い幻惑の霧に包まれた。
誰もが女王を崇め、争いはなくなり、貢物は次々と届けられた。
エンヴィリアは「絶世の美女が治める花の楽園」と呼ばれ、魔王軍内でもその人気は高まった。
しかし、数ヶ月が過ぎた。
貴族魔族の一人は、女王の姿が少しずつ小さくなっていることに気づいた。
花妖たちは、女王の声が幼く聞こえるようになったと言い出した。
人間の騎士たちは、女王の顔が幼い少女のようだと囁き合った。
やがて花冠の魔力は暴走した。
リリアーナの体は日に日に縮み、銀色の髪は短くなり、完璧なプロポーションは幼い少女の姿に変わっていった。
絶世の美女だった女王は、最後には五歳ほどの幼女の姿になった。
幼女となったリリアーナは玉座に座り、大きな目で周りを見回したが、威厳はなく、ただ可愛らしい声で「もっと褒めて」と言うだけだった。
リリアーナは最後に、花冠の内側に浮かんだ小さな文字を読んだ。
それは彼女自身が刻んだものだった。
「永遠の魅惑の花冠はできる。しかし、四天王が自らそれを使えば、世界は本物の成熟を十重に求める。偽りの美しさは、頂点に立つ者ほど均衡を失う。」
今ではその街は「幼女王の花都」と呼ばれ、誰も冠を被ろうとしなくなった。
ただ、玉座に座る小さな少女が、時々「きれい?」と首を傾げる姿だけが残っていた。
「魔力の均衡は、決して保たれなかった。人間がそれを試すたび、世界は静かに、しかし確実に代償を回収した。」




