おっきくたってちっちゃくたって! じえいぎょうのおとこ。
男性主人公の二人を差し置いて一人だけファンタジーな苗字が出る件<笑
「では、これで契約成立ということで」
「はい、ありがとう御座います、今後ともご贔屓に」
「ええ、ヴェルースト、お客様を送ってさしあげなさい」
「かしこまりました」
分かりきった命令に分かりきった応対で扉を開き、客人を促す
面倒だな
しきりにリュフラウム様の指を気にしていたから、どうせまた聞かれるのだろう
エレベーターの中でやはり尋ねられた
「……そのう……君、えーと、」
「ヴェルースト=ハーヴァルムです」
「ハーバルム君」
「なんでしょうか」
ハーヴァルムと言えないのか
「その…CEOはいつご結婚されたのかね?」
「どちらのCEOでしょうか」
「え、あ、いや、」
CEO(経営最高責任者)といえば、この場合、二人いる
日本に拠点を置き、本国との仲介目的に創られた会社のCEOに就いているリュフラウム様と
本国で国交目的に創られた会社のCEOに就いているイェルフラウ殿下だ
日本やその他の国の環境問題や社会問題は反面教師になっているから
それを踏まえた上での輸入や、こちらの物質で造った本国風の商品の流通を行ったり
その他にも技術を取り入れたりと色々参考にさせてもらっている
おかげて本国の食文化はこの23年で気持ち悪いほど発達している……
妻はスイーツに大喜びだ……今日も買って帰ろう
「ほら、小早川CEOだよ、あー、いや、若い方の」
「彼ですか、先週の土曜日に結婚されました」
「そ、そうかね、それはまた急だね」
「ええ、それがどうかなさいましたか」
「あ、いや、なんでもないんだ、うん」
「そうですか」
確か彼には年頃の孫娘がいたんだったか……
まぁ、王族に連なることになるのだから玉の輿といえばそうだが、
流石に国交に関わるということで、社長である彼が来たのだろうが頭が鈍いな
あまりプライベートな事に首を突っ込もうとすれば、
先日晴香様の勤めていた会社のように、喰われてしまうだろうことは容易に想像できる筈だが
そういえば、父さんの話によれば
鈴子様の勤めていた会社も喰われてしまったという話だったな
まぁ、喰われて潰されるか、成長するかのどちらかだが……
「では、込み入った契約の取り決めは、また後日
本日はご足労下さり、ありがとうございました」
「あ、ああ、うん、よろしく頼むよ
では、また」
「はい」
応接室に戻ると、リュフラウム様とイェルフラウ殿下はすっかり仕事のことは忘れて寛いでいた
「ああ、お帰りヴェルースト
君も見るかい? 最近の話題のスイーツ特集ベスト30」
「ああ、はい、是非」
「幸太、鈴子さんにこれが似合うと思いませんか?」
「良い具合に透けているね父さん」
「部屋着に良さそうですよ、シルクだそうですから手触りも良さそうです」
「…僕も頼もうかなぁ……
もうちょっと露出のあるのないかな?」
「こちらはどうです?」
「あ、良さそう」
「……。」
スイーツ特集の雑誌を渡されたと思えば
この二人の会話は別次元を邁進していた……
昼休みに秘書課に何か注文していたと思ったら、それか……
通販にはまっている色男二人というのも痛いものだな
しかも、不健全な衣類ばかり……
もう、考えるのはやめようヴェルースト、そうだ、それがいい
それだけで心の平安は一割増しだ
道具は邪道だけどラッピングはOK<笑
これにて『おっきくたっていいじゃない! ちっちゃくたっていいじゃない!!』は〆です
最後までお付き合い下さりありがとう御座いました!!
今、本篇の方をネタ練りしているところです、冒頭と結末と間のエピソードは作ってあるのですが、ストーリー本筋の流れがどうにもしっくりこない…
色々、違う話とかに脱線する可能性が高いというかもう脱線する気満々ですが
長い眼と広い心で端目にでも生ぬるく見守っていただければ之幸いです
お粗末様でした!




