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果樹園を作る

 冬が過ぎ、また春がやってきた。

「今年は、去年よりも1ヶ月早く畑を耕し始めるぞ!」と、去年のこの時期には息巻いきまいていたが、結局そんなこともなく同じように3月の末あたりからボチボチと活動を始めた。

 しかも、去年よりも格段にやる気は失われている。


 その原因は、というと…

 結局の所、「お金にならない」からだ。どんなに一生懸命に自分の畑を耕し、草を刈ったり抜いたりし、水や肥料をやり、害虫を除去していっても、最終的に収穫できる野菜はわずかなものだった。

 それよりも、他の人の畑を手伝った方がいい。本業で農家をやっている人ならば、比べものにならないほど多くの収穫がある。そういう人たちは、国から補助金ももらっている。その手の人たちを手伝えば、いくらかでもまともな収入になった。

 もっとも、このベーシックインカムというシステムが本格的に全国に広がっていけば、そういった農家に対する補助金もなくなってしまうかもしれないのだが…


         *


 それから、僕は思案の末、畑を耕すのはやめた。

 野菜を作るのはやめて、果物を育てることにしたのだ。ブルーベリーだとか桃だとか、そういう木を植えて果樹園にしようと思ったのだ。それならば、たいした手間はかからないし、毎年決まって果物がとれる。

 小さな畑ではあるけれども、10本やそこらの木は植えられるだろう。

 もっとも、今から苗を植えても、実がなるのには2~3年はかかるだろう。もっとかかるかも。その頃には、もう僕はここには住んでいない可能性もあったが、それならばそれでもいい。僕がいなくなった後に、近所の人たちに食べてもらえばいい。


 その後、インターネットでいろいろと調べて、「レモン」と「ブルーベリー」と「ブラックベリー」というのを植えることにした。どれも、他の木に比べると世話が簡単で、成長すればたくさん実もなるということがわかったからだ。

 こうして、僕は隣街となりまちのホームセンターまで自動車を運転し、ブルーベリーとブラックベリーの苗を4本ずつ買って帰った。レモンの木は売っていなかったので、あとからネットの通信販売で購入した。

 それぞれ、早く実をつけるように3~4年生のものを購入したので、ちょっと値が張ったけれども、どれも大体4000~5000円程度で手に入れることができた。

 全部で5万円ほどの出費だ。ちょっと痛かったけれども、仕方がない。もっと時間があれば、安くて若い苗を植えてもよかったのだが、“時は金に換えられない”などという言葉もある。こちらで正解だろう。

 それに、なるべく大きく育った苗の方が事故が起こる確率が低くなる。あまり若い木を植えて、すぐに折れてしまったり、ダメにしてしまったりしては、何にもならない。素人しろうとの僕が初めて植えるなら、この方がいいだろう。


 ブルーベリーとブラックベリーをそれぞれ4本ずつ。レモンを2本、畑に植え終えた。

 できる限り広めに間隔をとってはみたが、それでも、もしかしたら将来的には狭く感じるようになるかもしれない。ま、その時になったら、また対策を考えよう。2~3本、減らしてみてもいい。可能ならば、誰かにあげて植え替えてもいい。現時点では、まだそこまで大きく成長するかどうかもわからないのだ。

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