自動車の運転をしてみる
坂道さんたちのシェアハウスで使っている自動車は古い。
最初はお金もなかったし、我慢してみんなでその古い自動車を使っていたのだが、それなりにお金もたまってきたということで、新しく買い替えることになった。
そこで、その古い自動車は、僕にゆずってもらえることになった。
もちろん、僕は自動車の免許など持ってはいない。ただ、公道でなければ自由に乗り回すことができる。なので、その古い自動車を使って、運転の練習をしようと思ったのだ。
この機に、運転免許を取っておくのも悪くない。そのためには練習が必要だ。
「でも、いいんですか?ほんとに無料でゆずってもらっちゃって?」と、僕は坂道さんに尋ねる。
「いいんだよ、いいんだよ。どうせ、ここまでボロだと売るわけにもいかないからね。そうなると、廃車にするしかない。それにもお金がかかるんだ。もらってくれた方が、こちらとしても助かるくらいだ」
「そうですか。それなら…」
「その代わり、廃車にする時には自分でお金を払ってくれよ」
「はい」
こうして、僕は自動車の運転の練習を開始した。
自動車自体は近所の空き地に置かせてもらって、毎日そこまで歩いていって練習をするのだ。
ガソリンが切れそうになったら、誰かに頼んで給油してきてもらおうと思っていた。でも、実際にはほとんど移動しないので、ガソリンは全然減らなかった。
操作自体は非常に簡単だった。
基本的には、エンジンをかけ、アクセルとブレーキを踏み、あとはハンドルをうまく操作するだけ。他にも、いくつか細かい動作を覚える必要があったが、それほど難しいものでもない。
そもそも、僕は普段からゲーム好きで、レーシングゲームなどもいくらかプレイした経験があったので、慣れるのにはそんなに時間はかからなかった。
それでも、最初はアチコチにぶつけてしまい、自動車にはいくつも傷やへこみができてしまった。でも、ぶつけるたびに、腕は上がっていく。
運転の練習をする時には、いつも坂道さんや油山さんに横についていてもらったのだけれども、最初は不安そうに見ていた2人だったのに、すぐに褒めてくれるようになった。
「ああ~、これなら免許を取るのも、そんなに遠くない未来だろうな。なんだかんだいっても、一番必要なのは練習だよ。“習うより慣れろ”っていうだろう?自動車学校なんかに通うより、ここで何百回も練習した方が上達が早い」
坂道さんのその言葉通り、僕の運転技術はメキメキと上達していく。
2~3週間も練習すると、狭い空き地の中を全く自動車を傷つけることなく乗り回せるようになってきた。




