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1人で勉強する日々

 僕は、1人で考えたり勉強したりすることが増えてきた。

 今回も、近所のシェアハウスの人たち同士の集まりが終わって家に帰ってからも、じっくりと1人で考えた。あるいは、インターネットの情報などを片っ端から集めていって、読みあさった。


「ただ文句をいっているばかりではいけない。それでは何も始まらない。僕には僕なりにできるコトがあるはずなんだ!」

 そう思いこみ、一生懸命に勉強した。学校にいる頃でも、こんな風に懸命になったことはなかった。それが、ここに来て変わってきた。

 毎月8万円というお金をもらっているということもあっただろう。他の人たちに比べて、あまり働く必要もなく時間があり余っているということもあったろう。いずれにしても、僕は勉強を始めた。この世界を変えるため。些細ささいなコトかもしれないけれど、何かをせずにはいられなかった。

「たとえ、チッポケなちからであろうとも、何もしないよりかは、まだマシなのではないだろうか?」

 そんな風に思えたから。


         *


 僕は、ベーシックインカムの基本理念から、徹底的に学び直すコトに決めた。

 さらに、「ベーシックインカムの財源をどうするのか?」という疑問に答を出すために、国の予算についても調べていく。


 そこでわかってきたのだが、国の予算には“一般会計”と“特別会計”というのがあって、みんなが話題にあげているのは、一般会計の100兆円の方ばかりなのだ。

 実は、日本ではこの特別会計の方が額が多く、400兆円くらいの規模になるらしい。ただし、それは見せかけの数字で、いろいろとお金を移動させて複雑になっている。実際には、200兆円ほどなのだとか。

 200兆円!それでも、200兆円!!一般会計の2倍もあるではないか!!しかも、健康保険や年金などは、この特別会計の方に入るのだそうだ。

「このお金をどうにかして引っ張ってくれば、ベーシックインカムに必要な年間120兆円を捻出ねんしゅつすることだって夢ではないのでは?」


 調べていくと、年金だけで毎年50兆円以上も国民に支払っているらしい。

 これをベーシックインカムの財源に使ってはどうだろうか?


「でも、待てよ…」と、僕は考え直す。

 これって、みんなが毎月年金保険料をおさめているから成り立っているんだよな?もしも、年金制度そのものをやめて、国民に年金の支給をやめたら、国に入ってくるお金の方もなくなってしまうのでは?

「ダメだ。ダメだ。これじゃあ、うまくいかない」

 しかも、親睦会しんぼくかいの席でも誰かがいっていたじゃないか。「そんなの現実的じゃない!これまでマジメに保険料を払ってきた人たちが『はい。今日から年金の支給をやめます』なんていわれて黙っているはずがない。猛反発が起こるに決まっている」って。


 その後も「他に方法はないのだろうか?」と、いろいろと調べてはアイデアをひねり出す。けれども、どれもこれも根本的な解決になっていなかったり、現実的な解決法ではなかったりして、うまくはいかない。

 段々と頭の中が混乱してきて、パンクしてしまう。


「結局、どんなにあがいたところで、うまくはいかないのだろうか?たった1人の力では、どうしようもないのだろうか?」

 そうして、僕は世界の大きさに打ちひしがれ、孤独にさいなまれて、その場にバタンキューと倒れこんでしまったのだった。

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