畑がジャングル化
相変わらず、僕は畑仕事に精を出し、近所の人たちの手伝いなどをして暮らしていた。
けれども、6月後半から1ヶ月ほど梅雨の時期に突入し、その畑仕事もサボる日が続いた。
梅雨といっても、毎日、ザーザーの雨が降り続くわけではなく、ドンヨリとした曇りの日や、小雨の日も多かった。
最初は、よほどの大雨が降っている時以外は、畑に出て雑草をこまめに抜いたりしていたのだが、1日大雨で休んで以来、ちょっとした雨が降っているだけでサボりがちになってしまった。
*
そうして、7月も終わりが近づき、気象庁から梅雨明け宣言がなされて、ひさしぶりに自分の畑に向った僕は驚いて腰を抜かしそうになってしまった。
まるで、畑がジャングルのようになってしまっていたのだった。
「な、なんだこりゃ…」
あ然として、その場に立ち尽くす僕。
畑がジャングル化してしまったのには、理由がふたつある。
1つは、カボチャのせいだった。しばらく前に植えたカボチャのツルが、伸びに伸びまくって地面をおおいつくし、他の畑まで浸食してしまっている。
ま、こちらは仕方がない。むしろ、「元気に育ってくれた」と喜ぶべきだろう。
問題は、もう1つの方。
油断している間に、雑草が大きく成長してしまっていたのだった。1ヶ月くらい前までは、ほんの小さな草がアチコチに生えていただけだったのに、今やそれらの雑草は信じられないくらいの高さまで伸びてしまっている。僕の腰くらいまでの高さになっているモノも数多くあった。
「植物の成長って、思っていた以上に凄まじいものなんだな…」
そうつぶやくと、僕は軍手を手にはめて、1本ずつ丁寧の手で雑草を抜く作業にかかった。
雑草は畑中に繁殖しており、抜いても抜いてもキリがない。
泣きそうになりながら作業を続けていく。
「でも、仕方がないよな。油断してサボってしまった僕が悪いんだもの…」
自分で自分にそういい聞かせながら、黙々と退屈な作業を続けていく僕。
結局、2~3時間も草抜きを続け、その日はそれで諦めてしまった。
「このペースだと、自分の畑だけでも5日はかかるな。その上、近所の人たちの畑作業も手伝うとなると、完全に終わらせるのに何日かかるかわかったものじゃない…」
雑草は、抜いても抜いても新しいのが生えてくる。大きく成長した草から順番に抜いていると、小さかった草もいつの間にか大きくなってしまっている。
しかも、野菜を傷つけないように不必要な草だけ抜くという作業は、結構気を使う。腰をかがめて作業を続けるので、腰も痛くなってしまう。
「こんなコトになるなら、少々の雨が降っていても、サボらずやっておけばよかったな…」と、反省する。
こうして、僕は「雑草が大きく成長してしまう前に、なるべく小さい内に抜いてしまう。その方が、結果的には楽なのだ」というコトを覚えたのだった。




