表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/60

畑がジャングル化

 相変わらず、僕は畑仕事に精を出し、近所の人たちの手伝いなどをして暮らしていた。

 けれども、6月後半から1ヶ月ほど梅雨つゆの時期に突入し、その畑仕事もサボる日が続いた。


 梅雨といっても、毎日、ザーザーの雨が降り続くわけではなく、ドンヨリとしたくもりの日や、小雨の日も多かった。

 最初は、よほどの大雨が降っている時以外は、畑に出て雑草をこまめに抜いたりしていたのだが、1日大雨で休んで以来、ちょっとした雨が降っているだけでサボりがちになってしまった。


         *


 そうして、7月も終わりが近づき、気象庁から梅雨明け宣言がなされて、ひさしぶりに自分の畑に向った僕は驚いて腰を抜かしそうになってしまった。

 まるで、畑がジャングルのようになってしまっていたのだった。


「な、なんだこりゃ…」

 あ然として、その場に立ち尽くす僕。


 畑がジャングル化してしまったのには、理由がふたつある。

 1つは、カボチャのせいだった。しばらく前に植えたカボチャのツルが、伸びに伸びまくって地面をおおいつくし、他の畑まで浸食してしまっている。

 ま、こちらは仕方がない。むしろ、「元気に育ってくれた」と喜ぶべきだろう。


 問題は、もう1つの方。

 油断している間に、雑草が大きく成長してしまっていたのだった。1ヶ月くらい前までは、ほんの小さな草がアチコチに生えていただけだったのに、今やそれらの雑草は信じられないくらいの高さまで伸びてしまっている。僕の腰くらいまでの高さになっているモノも数多くあった。

「植物の成長って、思っていた以上に凄まじいものなんだな…」

 そうつぶやくと、僕は軍手を手にはめて、1本ずつ丁寧の手で雑草を抜く作業にかかった。


 雑草は畑中に繁殖はんしょくしており、抜いても抜いてもキリがない。

 泣きそうになりながら作業を続けていく。

「でも、仕方がないよな。油断してサボってしまった僕が悪いんだもの…」

 自分で自分にそういい聞かせながら、黙々と退屈な作業を続けていく僕。

 結局、2~3時間も草抜きを続け、その日はそれであきらめてしまった。


「このペースだと、自分の畑だけでも5日はかかるな。その上、近所の人たちの畑作業も手伝うとなると、完全に終わらせるのに何日かかるかわかったものじゃない…」

 雑草は、抜いても抜いても新しいのが生えてくる。大きく成長した草から順番に抜いていると、小さかった草もいつの間にか大きくなってしまっている。

 しかも、野菜を傷つけないように不必要な草だけ抜くという作業は、結構気を使う。腰をかがめて作業を続けるので、腰も痛くなってしまう。

「こんなコトになるなら、少々の雨が降っていても、サボらずやっておけばよかったな…」と、反省する。


 こうして、僕は「雑草が大きく成長してしまう前に、なるべく小さい内に抜いてしまう。その方が、結果的には楽なのだ」というコトを覚えたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ