学校に着いたけれども、うれしくない日常
授業開始10分前、普通に歩いたのでは間に合わない、そんな時間に俺は姿を魔法で消すことに成功していた。
現在寮の前、如月は透明だが、お互いだけが見える可視化の魔法?のおかげでなんとか見失わないようになっている。
「それじゃ、手を掴んでいるな?俺が魔法を唱えるから、その後の舵取りを任せたぞ。」
そう言うと彼は「疾風の駆け足」と呟く、そうすると、彼と俺の体が白くひかり、周りの動きが鈍重に見え始めた。
「さて、学校はどこだ?」
聞いてきたから、学校を指さす、俺の学校は本校舎が5階まであり、その他校舎がそれぞれ5棟あり、その他校舎のそれぞれが3階まであったはず、といううろ覚えではあるが、結局俺が使っているのは本校舎と体育館、それと魔法実習棟だけである。
本校舎以外にあるのは、旧校舎、体育館、魔法実習棟、技術実習棟、部活棟の5棟ではあるが、今は関係がない。
とにかく本校舎がある方を指さすと、思いもよらない速さで如月と俺は走り出した。
大体校舎まで走って20分位かかるところが、たったの5分でついてしまったし、なんだかんだで学校内にまで入ってしまった。
そんな本校舎の男子トイレで、誰も見ていないのをいいことに姿を消すのを止めた。
「本当に早くに着いちまったよ……」
呆然としながら手を離す、そうすると、如月が顔をドヤつかせながら「まぁな!」と言ってきた。
「なにせ、人に見つからないように隠密行動をしなければならない時が多かったからな、昔、霧森さん……じゃなくって、村長代理に教えてもらったんだ!」
きりもりさん、というのが誰かは知らないし、隠密行動に突っ込んだ方がいいかと考えたりもしたが、とにかく早くにつけて良かった。
「いやー、助かった、ありがとうな?」
「いやいや、大丈夫だよ。
それじゃ、俺は行くな?」
そう言って、如月は姿を消した。
俺は荷物を持ち直し、教室に歩いて行った、1の5、これが俺の教室だ。
教室に入り、荷物を置こうにも人が机を占領しているから座れない、どけと言っても退かないのは知っているから、荷物をかけさせてもらう。
そして、俺はベランダに行き、いつもの定位置に陣取るかとらないかといった時に、チャイムが鳴り、生徒たちが席につき始める。
俺も席につこうと窓を開けようとするが、開かない、仕方ないから魔法で開けようとする。
開かない。
そんなこんなで先生がやって来る、他のクラスの生徒たちは笑っている、本当に嫌な奴らだ。
「おい神道、どうしてベランダにいる、さっさと入って来い。」
そう言うのをクラスのやつらは笑いながら見てくる、むかつく。
正直、こうなったのはつい最近の事で、前までは無視されているな~、という程度だった。
それが何故だか最近ではこうなっている、本当に何故だかわからない。
仕方ないから、開かないことを証明するために窓を開けようとすると、簡単に開いた、それにどこからかヤジが入るが、何も言わずに俺は席についた。
「ったく、毎回の事ではあるが、こうやって怒る身にもなれよな。」
「……ごめんなさい。」
「それじゃ、ホームルームを始めるぞ。」
そして、暫くしてホームルームが終わり、ガヤガヤと騒がしい教室にいたくはないが、次の授業がすぐに始まるということで、そのままで椅子に座っていると、俺の後ろに座っている奴と座って話したいと思っているであろう奴が俺の席に来た。
因みに、俺の席は廊下に一番近い、前から3番目の席で、教室には横に6席、縦に6席の席がある、どうでもいいな、この情報。
「おい、どけよ。」
そうやって、やっぱりというか、俺の席なのに目の前の奴は自分の席のように、俺をどかそうとしてくる。
「どうしてだ?俺の席だぞ、ここ。」
「あん?劣等生が一丁前に自分の席を主張しているのか?お前の席は、床で充分だろ?」
そう言われながら髪の毛を掴まれて引きずり降ろされる、そして、俺が床に座ったのを見た後にそいつが堂々と座って、俺の後ろの生徒と話し始めた。
正直、この程度の事ではもう、何も感じなくなってしまっているが、何故だか心臓の付近が痛いというか、冷たいというか……そんな感覚に支配される。
ほかの生徒は何もないような、いつも通りの光景として誰も何も言わない。
やれやれと溜息を吐いてから痛む頭皮を撫でつける、そんな事をしているうちにチャイムが鳴って、国語の時間になった。




