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滅びた民族と俺の話  作者: 春川 歩
封印されし人間
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勝手に掃除された……だと?

適当に風呂を済ませて脱衣所に置いてある俺の洋服を着てから出ると、そこには使っていない勉強机にセットになっている椅子に座った如月がいた。

「出たぞー」

言った後に気が付いたが、部屋の埃っぽさが無くなっている。

「失礼かもしれないけど、結構埃っぽいから次、入ったらどうだ?」

そう声をかけると彼は、体を見回した後に納得をした顔をしてから、ニッコリと笑って返答を返してきた。

「ありがたく入らせてもらうけど、タオルとか、石鹸とかは使っていいのか?」

「石鹸使っていいけれど、シャンプーとリンスはそれぞれ2プッシュまでだったら、使っていいぞ。」

「あぁ、わかった。」

彼が風呂場に消えていくのを見届けた後に俺は、部屋の中を見て回った。

「綺麗になっている……だと……。」

部屋の中の埃っぽさが無くなって、ゴミ箱がほこりで山になり、部屋は綺麗になったが、ゴミ箱は一言で言えば壮絶なことになっている、その上に、観葉植物がいきいきとしていた。

「最近元気がなかったのに、どうしてなんだ?」

そこまで考えたところで、つい先ほど風呂に入っている時に聞こえた、風が吹く音や、ガサリ、というビニールの音、これらが意味をなしているとしたら。

そう考えながら椅子に座る、彼が高等魔法が使える人だというのは知っていたが、まさか魔法が掃除に使えるとは思わなかった。

そもそも魔法という物は、制御が出来ない、威力が弱すぎて使いどころがない、あるいは強すぎてとても難しいとされている。

出来ることは破壊、それか防御、それくらいしかできなくて、掃除のようなことは掃除機があればいい、そうだというのが世の常識だ。

なのに、掃除に魔法が使えるというのが本当に不思議なことで……。

「目覚めさせたのは俺だけど、一体どんなやつを俺は目覚めさせてしまったんだろうか。」

あんなに細かい制御が出来るなんて、そんなの化物じゃないか。

そういった思考になったところで風呂場から、ぱしゃん、という水の音が聞こえてきたところで意識を変える。

俺は古代魔法の高等魔法が使いたいんだ、そのためじゃなかったとしても、目覚めさせてしまった俺に、責任がある。

だけど、責任ってなんなんだ、俺は今、非常に彼に対して失礼なことを思っていたのではないか?

相手は人間、普通の人間なんだ。

そこまで考えて、気分が暗くなった辺りで彼が出てくる音が聞こえてきたから、思考を中断させる。

「風呂、どうだった?」

完全に乾いていてサラサラの髪を見て俺は、現代においてそんな魔法も失われてしまったのかと、現代魔法に置いての生活魔法と言う物の廃れ具合に愕然とするが、それを顔に出さないように頑張る。

「気持ちよかったよ、ありがとう。」

ニコニコと彼が笑うが、そこで時計を見てみる、現在時刻は7時なんちゃら分、寮長が俺たちを起こしにかかってくる時間だ。

「ならよかった、あとな?実は唐突で悪いんだが、時間が時間だから、ちょっと隠れてくれないか?」

彼は不思議そうな顔をして、俺に理由を求めてきた。

「どうしてだ?何かこのあとあるのか?」

「あぁ、朝食の合図がもうすぐで鳴るから、それで、食事しに行かないといけないから。

他の理由としては、寮長がくるかもしれないから、だな。」

そう答えると、彼は納得したような顔をした。

「まぁ、なら仕方ないか。」

俺はその返答に何故かほっとしたが、それも失礼だと、どうしてそんな事を俺は考えるのかがわからずに、一人困惑していると、どこからかぐるり、という音が聞こえてきた。

音の発生源を見ると、如月が腹を押さえながら困った顔をしていた。

「あのー、非常に言いにくいんだが……、俺さぁ、まだ食事していないんだよね。」

それに、そういえばあそこは見事な廃墟というかダンジョンで、食料があったとしても、既に食べられなくなっているだろう。

だったら、と思い、手をポンと一つ打ってから彼に提案を投げかけた。

「俺が食事をとってきてやるよ。」

「いいのかい?」

「あぁ、とりあえず食堂に行くから、その時にパンを多めに持って来てみる。」

そう提案したら、嫌そうな、それでも空腹に勝てないといった顔をした相手が「それじゃ、頼むわ。」と言ったところで朝食を知らせるチャイムが鳴った。

「この音が朝食の合図なんだ、待っていてくれてもいいけれど、なるべく隠れていてくれ。

俺が怒られる。」

そういうと、玄関にまで歩いていき、靴を履いたところでノックの音が聞こえてきた。

「朝食の時間だ!起きろ!」

その声と共に扉が開け放たれた。

「寮長、もう起きているからいちいち開けなくても……」

「普段、チャイムで起きない奴が何を言っている。

さっさと食堂に行って来い。」

その声に従って部屋を出ると、寮長は扉を閉めて、隣の部屋に歩いて行った。

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