全てを変えた真実
真っ暗だ。
何もない。
誰もいない。
きっとこのまま、僕の意識も世界に溶けていける。
ーねぇ、起きてよ
あれ?声がする
おかしいな。ここには何もないのに。
ーお願いだから、、、っ
あぁ、やめてくれよ。
そんな、泣きそうな声で呼ばれたら
行くしか、ないじゃないか。
「ーえ。」
目が覚めた。
完全に閉じたはずの世界から、僕は抜け出していた。
「あ、起きたぁ!もう、心配したんだから!」
そこには涙目になった、あの彼女がいた。
先程まで先生や友人がついていたらしい。
それぞれがちょっと出掛けることになり、今保健室にいるのは彼女と僕だけだった。
どうして倒れたのか心当たりはないのかと、彼女は必死に聞いてきた。
一度起きてしまった以上、その原因である彼女に全てを明かさなければならないと思った。
僕は、過去のトラウマと自身の目についてを語った。
昔、友人だと思っていたものが自分の思い描いた幻覚だったことを。
彼女は、こんな馬鹿げた話を真剣に聞いてくれた。
「それって、目が原因じゃ無いんじゃない?」
「目が、原因じゃない?」
「だって、聴覚や触覚も感じるんでしょ?それってつまり、想像力ってやつじゃないかな。」
「そうか、たしかに。目にばかり気を取られていたけど、そうとも言えるのか。」
「つまり簡単に言えば、あなたってきっと暗示にかかりやすいのよ。非常に。」
暗示、か。
自己暗示に僕は囚われていたのか?
「だったら話は簡単ね。暗示にかからないように、暗示にかけてみるの。」
「そんな、うまくいくかな。」
「それだけ暗示にかかりやすいんだったら、可能性は低くないわ。やってみましょう。目を、瞑って。」
彼女が暗示をかけてくれるらしい。
僕は、話を聞いてくれた彼女に心を許して言われるがままに目を閉じる。
肩に手をあてられ、お互いの額が重なる感触を感じた。
「もう大丈夫。あなたは幻覚を見たりしない。幻聴も聞こえない。全ての感覚が、普通になる。だから、大丈夫。大丈夫。」
彼女の声を聞きながら、どこか安心を覚える自分がいた。
ーあぁ、きっともう大丈夫。
翌日から、友人にもすごく心配されながら僕は学校へ登校した。
例の彼女との関係も安定したからか、幻覚を見ることもない。
いや、もう見ることはないのだろうと何故か確信している自分がいた。
たしかに僕は、暗示にかかりやすかったのだろう。
長年の悩みを解決してくれた彼女は、ひょっとしたら本当に天使なのかもしれない。
「そういやさ。あの子とは仲直りしたんだろ?」
「ん?そうだけど。」
「もしかして惚れちゃったりしたか?」
「ば、馬鹿言うなよ。」
友人がからかってくるが、そこはあえて流そうとする。
が、どうしても気になるようで友人はその話を続ける。
そういえば、こいつにも言えなかったことを話せたんだよなぁ。あの子には。
「だってさ、すっげぇかわいいじゃん。あの子。」
「まぁ、そうだよね。」
「俺、初めて見たとき思ったもん。天使みたいだなって。」
!
「天使?」
「お前は、そう思わなかったか?」
「、、、そうだね、きっと同じことを考えてたよ。」
だとしたら一目惚れってことになるのかな?
あの幻覚が見せたのは、、、。
僕の、初恋。




