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妄目少年  作者: たとい
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天使の見えた日

オチも決まったので早めに書き終えたい。

僕には普通の人が見えないモノが見える。


それはいわゆる幽霊だとかそういうたぐいのものじゃない。

説明するのは少々難しいのだが、簡単に言ってしまえば【妄想が現実のように見えてしまう】のだ。


たとえば、目の前にリンゴがあるものだと想像してみたとする。

すると僕の場合、まるで本当にそこに本物のリンゴがあるように見えてしまうという訳だ。

それはあまりにリアルで、本物と全く見分けをつけることができない厄介なものだった。


ただ、これは言ってしまえばただの幻覚に過ぎない。

手で触れようとしてみれば、手はその幻覚を通り抜ける。

だから、それが本物だと思い込みさえしなければ何の問題もなかった。

思い込みさえ、しなければ。


子供の頃は幻覚で見たものがまさか自分の妄想だとは思わずに色々とやらかしてしまったものだが、今は違う。

その変わった自分の性質をちゃんと理解したし、見ようとさえしなければ幻覚は見なくなった。


そう、見ようとさえしなければ自分は幻覚を見なくなっていたはずだったのに。

僕はいつもの登校途中にありえないものを見てしまった。



それは、一人の天使。



そう呼ぶのが相応しいのだろう。

白い翼をはやした少女を僕はたしかに見たのだった。


そんな馬鹿な。天使なんてものがいるもんか。

幻覚だ。妄想を見ているに違いない。

動揺しながら再び少女のいた場所を見てみれば、そこにその少女はいなかった。


やはりあれは幻覚だったんだと安堵したのもつかの間、僕はとてつもない恐怖に襲われた。

自分はまた、思いがけずに幻覚が見えるようになってしまったのかと。


いや、もしかしたらコスプレだったのかもしれないし何かの見間違いの可能性だってある。

一瞬のことだ、気にする必要はないと言い聞かせてその場を立ち去ったのだった。


お願いだから、もう幻覚を見せないでくれと願いながら。

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