十四
すっかり夜が明けた空は、淡い光が反射して薄い黄色に染まっていた。
朝の冷たい空気を吸い込みながら家路を急ぐ。
体が覚えている道をひたすら歩くと、見慣れた古家が見えた。
隙間から漏れてくる朝日に照らされた畳の上には、親父さんからもらった風呂敷包みがおいてある。
「何が入ってるんだろ…」
ゆっくり包みをほどくと、中には新しい着物と紙切れが入っていた。
「刀は凛の鍛冶屋にある。…って」
どうやら、武器も揃えてくれたようだ。
刀は手入れはしていたものの、長年使っていないせいか切れ味が悪くなっていた。
それに、昨日の戦いで刃が所々欠けてしまっていた。
昨日の戦いを見越して用意していてくれたのかもしれない。
そう思うと親父さんには気が抜けないと思う。
新しい着物は、白地に黒い線で百合の花が描かれていた。
白い色は暗闇の中で目立つ。
それは、仕事をする上では厄介だ。
それでも白地の着物を着るのは、先祖に敬意を示すためだと聞いている。
仲間も、みんなではないが白い着物を着てる者は多い。
着物をたたみ、代わりに普段着る着物を出して身支度を始めた。
外から、威勢のいい商人の掛け声が聞こえてくる。
体中あざだらけだ。
でも、薬がないので今はほっとく。
蓮鬽は普通の人より傷が治るのが早いから、これくらいどうってことない。
乱れていた髪を結び治して、凛の鍛冶屋へ向かった。




