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蓮鬽  作者: 夏月晴
12/27

十二

「っつ…」


腹がズキズキする。

肋骨は折れてなさそうだが、体中打撲傷だらけだろう。


「あの男、見たことない顔だったな」


わずかに差し込む月明かりに照らされた顔は、今まで見たことがない顔だった。


だけど…、どこか見覚えのある顔でもあった。


「誰かに似てた気がする…」


空を見上げると、うっすら赤く染まり始めていた。


気づけば、鬼の住む家が目の前にあった。


「まったく。親父さんは何考えてんだか。全部白状してもらわないとな」


そして、勢いよく戸口を開けた。





乾いた音ともに、土間に朝日が差し込む。


「生きて帰ったか」


白鬼が笑いながら待っていた。


「親父さんのせいで死にかけた」


「一体何の事だ?」


とぼける親父さんの前に、赤い紙切れの束を投げ出した。

あの男から、くすねた物だ。


「それを持ってる男に襲われた。親父さん、知ってたでしょ?」


親父さんは紙の束を手に取り眺めている。

私は、近くの椅子に腰掛けた。


「さすが、蓮鬽最強とうたわれただけあるな」


「本気を出す気は無かったけど、本当に危なかったんだ」


本当に、復帰早々死にかけるとは思ってもみなかった。


「あいつ何者なの?」


あの速さ、動き、的を外さない技術…。

どれを取っても上の方だ。


「あの男は、蓮鬽の血をひくものだ」


「やっぱり。あんな人間離れのスピード、普通の人なら出せない。例え訓練したとしても元の肉体はついてこれない」


「その通り。ただ、あのような男に心当たりがない。あいつが現れたのは一ヶ月くらい前だ」


親父さんは、ゆっくりと話し始めた。





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