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王女は"ざまぁ"されるほどの罪を犯したのか  作者: myano


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第3話 旅路

 数日後、俺は何故か王城に呼び出された。

 何か処罰されるようなことをしてしまったのだろうか。怯えながら国王の政務室に入る。

 そこにはこの国――グリファード王国の国王と重臣たちが勢ぞろいしていた。

「そうか……お前が」

 国王は俺を値踏みするような目で見た後、ぽつりとつぶやく。

 表情から敵意は感じられず、どこか感謝の念が宿っているように見えた。



 それからのことは緊張のせいでよく覚えていない。

 気が付くと俺は男爵位を叙爵(じょしゃく)し、田舎とはいえ領地も与えられていた。

「……夢じゃないよな?」

 屋敷に帰宅した俺は、頬をつねってみた。痛い。

 そんなことをしていると、フィーナがやって来た。

「おかえりなさいませ。わたくしは準備万端ですよ」

 彼女はそう言ってニコリと微笑む。

 一連のできごとがフィーナの仕業であることは明らかだった。

 彼女は本当に何者なんだろう。公爵令嬢……とか?



 俺たちは準備を整え、その日のうちに王都を出立する。

 叙爵(じょしゃく)と領地の件を両親に報告すると、『そうか』と返ってきただけだった。

 それでも、疎まれるだけのことをした俺を、今日まで育ててくれたことに感謝している。


「ところで、クライムはどうしてご両親とうまくいってないのですか?」

「……昔、貴族の屋敷に忍び込んで倉庫の扉を壊したんだ」

「ええっ!?」

 フィーナが信じられないという表情を見せるが、事実だ。

「その貴族が面倒な奴でな。『裏側の小窓も割れているぞ』『棚の上のものが壊れたから弁償しろ』と、色々注文を付けてきたんだ。結局、多額の賠償金を支払うことで手打ちとなった」

「そんなことが……」

 フィーナは何と言えば良いか分からないという顔をする。

「まあ、賠償金は両親が立て替えてくれて、俺が成人したら少しずつ返済することになっているんだ。だから、これから返していかないとな」

 俺はフィーナに気を遣わせまいと明るく振舞い、力こぶまで作ってみせた。


 俺たちは王都の馬車乗り場にやって来た。

 王都から近くの都市までは乗合馬車を乗り継いで移動し、そこから領地までは徒歩で移動する予定にしている。

「そういえば、領地までの旅費と交通費を支給されたんだ。俺、相場が分からないんだけど、こんなに貰っても良いのか?」

 大量の硬貨が入った袋を、他の人に見られないように気を付けながらフィーナに見せた。袋の中には、王都と領地を20往復以上できそうなほどの大金が入っている。

「ソンナモンジャナイカナ」

 フィーナが引きつった表情で目をそらす。

 見たことが無いほどの大金を見て怖くなったのだろうか。意外と庶民派だな。



 五日ほど馬車を乗り継ぎ、最寄りの都市に到着した。ここから領地までは歩いて三日ほどの距離だ。

「どうする? 領地まで馬車を出してもらうか?」

 硬貨が入った袋をフィーナに見せる。

 無駄遣いはできないが、フィーナがつらそうなら躊躇(ちゅうちょ)なく馬車を使うつもりだ。

「歩いて行きましょう。身体を動かしたいですし」

 フィーナは自分の足で色々なものを見てまわるのが好きなようだ。今も興味深そうに周囲を見回している。


「ははっ。お嬢ちゃん、この街に来るのは初めてかい?」

 そんなフィーナを見て、昨日から同じ馬車に乗っていたおじさんが声をかけてくる。

「はい! わたくし、王都から出たのは今回が初めてでして……」

「ほぉー、王都の生まれか。若いころに一度だけ行ったことがあるが、良い街だったなぁ」

 おじさんは昔を懐かしむようにしみじみと語る。

「そうだ! 都市を出て西側に小さな街があるんだが、危ないから行かない方が良いぞ。ならず者たちの住処になってるからな。奴らに手を焼いた先代の領主が逃げ出してしまったほどだ。まあ、あそこは何も無い土地だから、わざわざ行くこともないか」

 おじさんはそう言って笑うと、「じゃあ、達者でな」と言い残して去っていった。

「ねえ、フィーナ」

「はい、何でしょうか」

「俺の領地って……」

「ええ、この街の西ですね。多分、先ほどの御仁がおっしゃった場所でしょう」

 何ということだ。俺はその場に崩れ落ちた。

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