第3話 三百万人の神託
和樹は石黒の家を後にし、皇菊会本部に向かう途中、車の中で遍昭の説明を受ける。
石黒の家を後にし、俺は黒塗りの高級車の後部座席に座った。
───キーン
耳鳴りと吐き気がひどい。遍昭が水を渡す。
「お疲れさまでしたぁ。はじめてにしては上出来ですねぇ」
「黙れ...気持ちわりぃんだよ、そのしゃべり方」
遍昭はかまわず続ける。
「先ほどは発現直後の『発醒』いわゆるボーナスタイムだったのでその程度で済みましたがぁ、次は貴方ごと捻じれますよぉ」
こいつは識殻について知っているような口ぶりだ。
しばらく走った後、遍昭がおもむろにタブレットを取り出す。
「さて、これからあなたには皇菊会に入会していただくわけですがぁ、その前に簡単な組織構成だけ説明しておきましょう」
「いやそれよりも聞きたいことが───
「そもそも皇菊会は、もとは現代日本の革命を掲げる、小中規模の宗教組織でしたぁ。ですが数年前会員が開発したといわれている超科学力によりぃ、掲げる目標が射程範囲に入ったのでぇ、武力を持った大規模勢力となりつつありますぅ。今この時も皇菊会は様々な機関に入り込み、勢力を拡大していますぅ」
「皇菊会は大きく4つに分けられますぅ。まず『一般会員』彼らは、皇菊会に人脈、労働力、資金の提供をしてくれますぅ。我々が抱えている一般会員の人数は全国で300万人を超えていますぅ。」
あまりの数の大きさに驚嘆する。
「さ…300万⁉ホントなんだろうな⁉」
「えぇ、もちろん。...和樹さん、私たちは、ただのあいまいなインチキ宗教組織ではないんです。明確な『目標』!そして、それを実現できるほどの確かな『力』を持っている!我々は不満あるものを導く『真の救済機構』なんです!」
高らかに言い切った後、遍昭は意味ありげに笑う
「失礼、少し脱線してしまいましたねぇ。元の話に戻りますと...これら一般会員の上に『皇菊軍』がありますぅ。これは文字通り軍隊であり、皇菊会の手足となりますぅ。現役自衛隊上官にも皇菊会会員はいますぅ。」
能力は申し分ないということか。ほんとに大丈夫か?所詮実戦経験のない素人だろう。
「いえ、皇菊軍なら問題ないです。」
心を読まれた?
「ご心配なく皇菊軍にはどうやっても太刀打ちできません、彼らは特別な力を使うので...」
「...識殻か!」
「その通り、皇菊軍の入隊条件は『識殻が使えるかどうか」ですぅ」
全員あんな力が使えるのか。
「そしてその上に『崇密院』、トップが『帝』ですぅ。崇密院は私含めた6人の幹部会、帝はただ一人のトップですぅ」
「これが『皇菊会の』構成になっておりますぅ。あ、ちょうどつきましたね」
───ガチャ
「え、ここって…」
ドアを開けるとそこはただの廃墟だった。質問をしようとすると遍昭が口を開く。
「こちらはゲスト専用ですぅ。今から貴方には帝にあってもらいますぅ。くれぐれも失礼のないように、ではそこに乗ってください。」
俺はレコードプレイヤーのような円盤に乗った。
「いってらっしゃーい」
遍昭がタップすると同時に自分の体が粒子状になっていくのが分かった。
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