第2話 復讐・識殻
和樹は封筒を開け、復讐へ向かう
───石黒隼斗、父の秘書だ。何度か会ったことがあるが、誠実で真面目な印象だった。
封筒には石黒の住所や家族構成、仕事内容の他に石黒が横領をした証拠、それがバレて父に報告されそうだったこと、これらをまとめた文章と、ボイスレコーダーが入っていた。ボイレコには石黒と誰かの会話が記録されていた。
───の議員を事故に見せかけて殺せばいいのね、秘書さん」
「あぁ、うまくやれよ」
「任せてくださいよ、それにしても横領が報告されそうだから殺すって(笑)…」
「おい」
「ハイハイ、悪かったって、それじゃあ計───
「クソ野郎が」
気付けば俺は靴を履いて、右手にひんやりした冷たさを覚えながら石黒の家へ向かっていた。頭が熱い
石黒の家は普通の一軒家で、インターホンを押すと本人が出てきた。妻と娘は旅行中のようだ。
ドスッ!
石黒の腹に包丁が突き刺さる
「ぐぁぁぁあ、いでぇ!」
石黒が尻餅をつく、奴の間抜けな顔がやっと俺を認識する。
「お前はっ!冬馬の息子!」
俺は怒りを押し殺して口を開く。
「父さんはな、お前のことをよく褒めてたよ。仕事を120点で仕上げてくれるって」
「義一先生のことか!それは残念だったな、俺もまさか義一先生がと思ってたんだよ」
奴はまだこの状況を理解してない。
「よかったな、横領がバレなくて」
「………ッ!、ちょ…ちょっと待ってくれ!俺は別に───
ドスッ!
石黒の足に包丁が刺さる。
「ぎぁぁうぁぁぁあ、待って!まってくれ」
頭が熱くなる。
「黙れ!俺が父さんの恨み晴らすんだよ!」
頭の熱さが手に移る。俺は無意識に石黒に手のひらを向けた。
知らないはずの単語が頭を駆け巡る。
「識殻!『領域の支配!」
その刹那、石黒の顔が捻れていく。
「あ、!ア、!あぁぁガ!ァぎぁ!」
ブシャー
石黒の顔がミンチになった。
「ハァ、ハァ、ハァ、なんだ…今の」
俺はしばらく自分の手のひらを見つめていた。
───パチパチパチ
拍手の音だ。振り返るとあの張り付いた笑顔があった。
「お前か……この力について知っているのか?」
男は口を開く。
「はい知ってますぅ。しかしながら、自ら識殻を発現させるとは、さすがですねぇ」
何を言ってるんだ、識殻…さっき自分で言ったものの、何のことかさっぱりだ。
男は続ける。
「では、私と一緒に皇菊会にいらしてください、車は用意しておりますのでぇ」
相変わらず気持ち悪い喋り方だ。
俺は言われるがまま、車に乗った。
「今から皇菊会の本部へ行きますぅ。………申し遅れました、私『遍昭』と申します。」
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