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【五階層十五区画】吹上浜ダンジョン その6

【五階層十五区画】吹上浜ダンジョン その6


 3体に分かれたエリモス・ケルベロスは、大きく距離をとって低く伏せるように構えていた。


「判りました。アレは《分裂》というスキルみたいです。そして、あの状態のヴェステ・ガルムというみたいです」

「……なんで…ガルム? ギリシャ神話と北欧神話が混じっているの?」

「あーしのーせい? あーしーがフラグ建てちゃった?」

「アハハハ、これは強敵だね」

「まったくもって、厄介さは否定てぎませんね」

「ぼたんさん、何かわかることはでましたか?」

「えっと、《融合》てスキルがあるみたいです。《分裂》はHPの最大値が分かれた数で割られる見たいで、能力値も分かれた数×10%ほど下がるみたいです。《融合》は、《分裂》で別れた能力回復するそうですけど、3分間は能力値は融合前の状態が続くそうです。あとは、《生命共有》分裂した体に生命エネルギーを分け方得て回復するそうですけど…あと、ヴェステ・ガルムには《並列思考》のスキルがないみたいです。分裂の勢いを利用して美穂さんの<タイダルウェーブ>を回避したみたいですね」

「そうなりますと振り出しに戻るという感じでしょうか?」

「いえ、HPも激減しているので…ただ途中で《融合》されると厄介なので…二人一組で一体ずつがいいかと」

「でしたら、一芽さんとわたくしが組みましょう」

「では、私は美穂さんと、大技を繰り出す隙をつくります」

「それじゃ、充希さんは、わたしとお願いします」


 手早く作戦会議を終えると散開する。


「ガルルル」

「アハハハ、犬さんこちら、手のなるほうへ」


 充希は完全に、ヴェステ・ガルムを翻弄していた。クラス・ピエロは特殊なクラスで、ステータスの上昇値が器用以外は安定せず、ほぼ最低値の上昇値しか得られないとされているクラスの為に、その能力はあまり知られていないが、クラススキルのには《敵意上昇》《ヘイトコントロール》という敵意を制御するスキルがあり、囮役をこなすには実はうってつけのスキル構成となっている。ただ、ステータスの上昇値が低い為に、盾役としては厳しいという欠点があるが、充希なぜかその不利な点が、現れていない。


 ヴェステ・ガルムはイラつきながら、爪を振るうも空振り、かみつくとゆらりと躱される。その動き一つに一つに怒りはどんどんと募る。


「こっちだよ」


 そんな、ヴェステ・ガルムをおちょくるように頭上をプカプカと浮かぶ充希。


「ガルァァァ」


 ついに怒りが爆発したのか、咆哮とともに砂が舞い上がり、充希の退路を塞ぐ


「アワワワワ」


 慌てる充希に止めと咬みつき、その牙がついに充希に刺さる……


「【リリース】」


 咬みついたヴェステ・ガルムの更に頭上から響いた声と共にヴェステ・ガルムの口内で爆発が起きる。然程、大きな爆発でないにしても、口の中で爆竹が爆ぜて驚かない人間はまずいない。例え、それがモンスターでも口の中で獲物が爆ぜて驚くのは、必定。ヴェステ・ガルムは、驚き地面に倒れると、こんどは水の剣とそれに合わせて水の弾幕が襲い掛かる。


「フフフフ、砂漠で<ミラージュ>て洒落ていると思わないかい?」


 幻影魔法<ミラージュ>。光系統の魔法に分類される魔法で、虚像を作り出す魔法である。充希が得意とするのは、光魔法。この光魔法の適正者はかなり少ないとされているが、充希とは相性がかなりいい。だが、わりとイタズラ目的の魔法の習得が多いのは本人の性格のせいだろう。


「…充希さんて、本当にいい性格してしますね…さてと、お仕事、お仕事」


 おちょくられているヴェステ・ガルムを遠目に見ながら、自らの配下を采配するぼたん。手元の迷宮白書には、どんどんと情報が増えていく。受けたダメージ量からの防御データー、攻撃までの速度、能力値の算出。


 ≪ホワイトブック≫は、鑑定系スキルには、分類されていない。召喚系スキルに分類されるスキルで迷宮白書を召喚するスキルなのである。そして、この迷宮白書は、チートアイテムといって間違いない。最初は白紙だが、時間経過とともに周囲の情報を自動で集積し、解析・予測まで行うという反則アイテムであり、そして、使用者に≪サモン・ドッペル・サーバント≫のスキルも与えるという破格の能力も備わっている。


「情報算出は、ほぼ完了。≪高速演算≫、計算に間違いなし…なら、後は詰将棋だね」


 二体の配下と充希が戦っている、ヴェステ・ガルムは、完全に翻弄されていた。派手さのない地味な戦いといっていい戦い。ヴェステ・ガルムの攻撃は、外れ、確実に、水の刃と水の弾幕で全身を塗らされ、そこにカードの刃が刺さり爆発する。避けた地点に、待ち換えている水の剣士に切られ、距離を取ろうとした足を射抜かれる。


「それでは、みんなのサポートに入るかな。<テレパス>」


 念話の魔法を使用し、戦場全体の把握を始める、ぼたんであった。

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