【五階層十三区画】吹上浜ダンジョン その4
【五階層十三区画】吹上浜ダンジョン その4
吹上浜ダンジョン十階層ボス部屋では、まさに今、決着が着く瞬間であった。
「【ワービースト:タイプ・フェゼント】いくよ! 必殺! 【フェゼント・ダイブ】」
一芽は一気に天高く上昇しそのまま急降下と共にサンド・ゴーレムの頭部を破壊し、その奥にある硬いモノも同時に粉砕し着地する。【ワービースト:タイプ・フェゼント】。雉の翼を生やした姿になるフォームである。
少し解説すると一芽のユニークスキル《ビースト》によって使用できる能力は、鳥類・動物である。ただし、飛行することは、これまでは【キメラスタイル:空神刃雷】を使用するしかなかった。だが、【ワービースト】によって能力にかなり幅ができた。
「やはり、このダンジョンでは美穂さんの水魔法は相性がいいですね」
「……<エリア・ミスト>は相性が本当に良かった…少しでも……サンド・ゴーレム濡れると脆い」
「うん、本当に相性て大事だね」
サンド・ゴーレムはパーツを組み替えるスキルが大半であり、それらを封じられ、あっさりと撃破されてしまった。
砂の街の迷宮は、罠はそれほどではない。砂漠系ダンジョンの最大の障害は暑さではある。だが、それさえ攻略できれば難易度は格段に落ちる。
モンスターの不意打ちなどもあるが、それも岬の前では一切の無意味になる。スキル≪アテンション≫は意識の流れを操作するスキルである。つまり、意識を認識することができるスキルでもある。一見だと、なぜユニークスキルなのか? と、思われるスキルではあるが、ユニークの名に恥じることのない強力なスキルなのである。
そして、一芽には《野生の直感》というスキルがある。これは《直感》《危険感知》《気配感知》《戦闘即応》という4つのスキルの効果をもつ一級スキルであり、この効果のおかげで、罠などにも即座に反応でき、さらに危険なルートを避けながら、最短のルートを選択して走破していき、あっという間に15階層のボス部屋前に到着する。
「僕は、ここをキャンプ地とするよ」
「はいはい、ほら、食事の用意手伝ってよ」
「僕の希望としては闇鍋かな。楽しいからね」
「……美味しければなんでも…」
「今回は~美千代ちゃんいないからレトルトだし~」
「では、ご安心を卵液も用意してありますのでオムライスにしましょう」
ダンジョンでオムライスなどは、日本以外では考えられないが、ダンジョン向けレトルトバックは、日進月歩で進歩しているのだった。
そして、十分な睡眠などの休息をとり挑んだボス部屋で待ち換えていたのは……
大型バスほどの大きさで、3つの頭をもつ砂の犬だった。
「「「「「また、ユニークボス!?」」」」」
エリモス・ケルベロス。それが待ち換えていた。モンスターの名前である。
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