表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
だんだん  作者: 武上渓
9/17

だんだん8話



ー8話



小林は三ノ宮城に帰った。

三ノ宮さんに土岐、木曽川が春菜を囲んでいた。

三ノ宮さんがあきれた顔で見上げた。

「カルロスゴーンみたいに捕まったってテレビが言っているけど?脱獄してきた?」

「瀧澤総理の指示で、証拠不十分だそうだ」

涙ぐんだ春菜が両手を拡げて小林に抱きついた。

土岐が言った。

「政治の事は政治家がやる方が良いと思うが?」

「政治は民衆の為のものだ。でも、民衆は自分の事しか考えなくなった。株式配当をもっとよこせ。補助金をよこせ。雇用をよこせ。外国で商売しやすいようにしろ。外国人の当たり前の生活を潰してでも。政治家は選挙で落ちないために、戦争するしかない」

引っ越しセンターの作業着を着た木曽川が首をひねった。

「極論過ぎない?俺の回りじゃ小林智昭右翼になったって言われる」

「木曾さぁ右翼って何だか知ってるか?」

「漢字書いたカーキ色のバスで、打倒っ打倒ってマイクでラップする団体だろ?」

「それ。ほかで言うなよ。怒る人がいるから」

「今のところ笑ってくれる人しか居ないけどなぁ」

木曾と春菜以外は笑った。

「右翼は保守現体制側で、左翼は革新反体制側。僕は総理大臣と協力して革新をしようとしている。革新的な右翼だ。そんなものは存在出来ない」

「小林。危険だよ。ジョン・レノンはどうなった?」

三ノ宮が真顔で言った。

「シンガーを殺しても、歌は殺せない。歌にシンガーの魂を込めれば、シンガーの体は滅んでも、シンガーは死なない」

土岐は小林を見つめた。

「小林。お前、世界を変えるつもりか?舐めすぎてないか?」

「世界なんか変えられない。でも考え方は変えられる。歌は考え方を変えられる力がある」

「だから危険だと言っている。人の思いはそれぞれだろ?小林の意図する方向に行くとは限らない」

「何十年も歌ってきた。人が何を考えるかを仕事にしてきた。やってみるさ」

古いファン達は不安だった。だが、このシンガーが決意したら止められない事も知っていた。


1ヶ月後。ニューヨーク、ヤンキースタジアム。チケットは完売している。しかし、ニュースは市警察が入口に規制線を張り入場を止めている画像を流していた。

今回のアルバム内容に反発するファンが、肯定派のファンに対して、暴力を行使すると公言したからだ。小林は飛行機を降りる事を当局に拒否され、成田空港に戻った。

戻って、ロビーに待機するよう日本政府に命じられた。

ロビーの椅子から見上げるモニターに、春菜の横浜アリーナライブの生中継配信が流れている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ