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そのハムスター、享楽家につき ~色々な称号、熨斗付けて返却したいんだけど?~  作者: ウメルヴァ
ハムスターの二つ名 12章 転移者

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本当に不本意ながら〔不本意ながら〕


 納得は出来る理由ではあった。

 習慣や常識の違いは軋轢を生み誤解を生じ仲違いさせる。   

 一度や二度ならば笑って済まされる事だろうが、何度も何度も繰り返されれば、いつも通りの表情で対応されるかもしれないけど、内心では盛大に舌打ちしているかも知れない。

 そんな事が度重なって至るところは刃傷沙汰。

 物騒だねぇ。

 だからそうならない様にする為に、あまりにも常識が違うと分かり、我慢の限界が来そうな場合は、地球で言うところの行政機関の様なところに話を持ち込み審査して、結果ダメだと判断されたら強制退去となるそうだ。

 その強制退去も、その街や村は勿論だけど、他の街や村に勝手に移住して迷惑をかけない様にする為に故郷まで監視人員と共に帰らされるのが魔族界だそうだ。


 ならば人間界にと思うのだけど、さすがは人間。

 ティファちゃんの様な無垢に近い娘こはあくどい輩に目を付けられて利用される事が多いとの事だ。

 元人間、今ハムスターの私が言うのもなんだけど、人間って陸なものじゃないのは、どの世界も共通なのかね?


 それはさて置き、ティファちゃんは故郷が異世界だと私達が知ってしまったので、自由に行動させるのが困難なのだと言う。

 送り返す先が誰にも到達出来ないだろう場所だから仕方無しだね。

 ならば。


「ここに帰って来ればいいじゃん。私、ダメとは言わないよ」

「シズネならそう言うだろうな。だがな・・・」

「他所と常識等が違うと分かっていて外へ出すのは、どうなんでしょうか?」


 あー、そう言う。

 個人的には実践してみて、失敗してからの方が覚えると思うのだけど、そう言う訳にもいかないのかな?


「分かっていて行かせるのは、此処の住人が責任を放棄したものと認識される恥ずべき行為になるんです」

「あー、そう言う」


 正直なとこ狭量だなとは思う。

 失敗はしないに越したことはないと思うけど、失敗して成長する人だって多々居ると思うから。


「ええ、そう言うです。更に言うと、この辺りの主はシズネさんですから、一番責任があるのはシズネさんになります」

「ええ〜、責任とか義務って単語キライッ! 権利とか利益って言葉なら好きかも?」

「あ、それ良いっすね」

「ははは、責任と義務が好きな奴なんて居ねえだろうからな」

「権利と利益にもー、多少はー、責任と義務がついて来るけどねー」

 

 そうなのっ!?

 権利と利益もキライになりそうだ。


「それとだ、此処からティファを放逐するなら、おまえがキライだと言った責任がついて来るぞ」

「・・・どんな責任?」


 表情筋を復活させていたなら、しかめっ面で寄った眉間の皺にトランプを挟めそうな気がするよ。


「此処、『誕生と終焉の地』の主はシズネだ。となれば、ティファが此処から出たらシズネが後見か保護者になるんだ」

「ふぇ?」


 何でそうなる!

 ティファちゃんは良いだよ。

 純粋無垢で素直だからイヤなところは今のところ見つからないし、むしろ逆に好ましく思っている。

 だって、このと一緒にいたら楽しいかな? なんて思ったのは彩女ちゃん以来初めてだもの。


 ・・・スカージュちゃん?

 おっかない顔だな、が第一印象だね。

 

 ・・・ドラゴン姿で突進して来れば、そうとしか思わないでしょうよ。


 ・・・今は・・・見ていて面白いだね。

 まぁ一緒に居ても面白いけど、見ていて面白いの方が上回っているね。


 今はスカージュちゃん評価よりも、何故か発生している私の責任と義務だよ。


「ハムスターに責任と義務をおしつけるな! そもそもだ! 私が管理していると思っているのは、ここら辺り一角だけだ! それ以外から出て行った奴の事なんて知らん! 更にそもそも! 私の所有地だと周知して無いでしょうよ!」

「いや、こないだの定例会で魔王と側近は全員知っているぞ」


 定例会、侮りがたし!


「それにだ、ティファは此処から行く訳だからな。それ以外には当てはまらねえな」


 ぐぬぬぬ、と言いたくなった。

 だが言ったら負けを認めると同意、絶対に言わん!

 そう!

 絶対に負けなんぞ認めない!

 どうすれば良い?・・・そうかっ!

 私ってばさえてる〜

 此処『誕生と終焉の地』きら常識やその他を身に付けるまで・・・いや、身に付けても此処が出身地になるなら、私が後見かつ保護者になってしまうから身に付けたとしても、が正解。

 ようするに、出さなきゃいいのだよ!・・・あれ?・・・えーと・・・向こうの主張は出せない、私の主張は出さない・・・一文字違いなだけで意味は同じ・・・いや! 違う!

 あつちのは身に付けたら出ても良いと言っているはず、私のは身に付けたとしても出さない、だからぜんぜん違うのだ。

 

「クックックッ、朽ち果て土に返っても出さないのだ!」

「なんかまた極端な事を言っている・・・」

「シズネさんだしな」

「であるな」

「なんとでも言えい! 私の目が黒いうちは出さんのだ!」

「まぁなんだ、出そうが出すまいが、シズネが後見かつ保護者なのは変わらねえがな」

「なっ!・・・ん、だと!?」


 聞いてた話と違うじゃねぇかゴルァ!

 ださねぇんだから、私に義務も責任もねぇだろア゛ア゛ン


 ダン!

 ダンダンダンダン!


 足ダンすんぞ!

 ハムスターだけどウサギみたいに足ダンすんぞゴルァ!


 ダンダンダンダン!


「落ち着くのである」

「シズネさんが、この地の主である限り保護者なのは変わりませんが、責任等はドラゴン姿のスカージュとハムスター姿のシズネさん位の大きさの差があります」


 ダンダン・・・タンタン


 なんですと?

 ハムスターからしたら頭だけで4㌧トラック並にデカいと感じるのに、それが全身の差だと?

 それはもう無いに等しいので"・・・いや、元の大きさが分からない。

 元の責任と義務の大きさが、この世界と同等たったとすれぱ、これ位の差は誤差くらいなのでは?


 タンタン・・・ダンダン


「・・・それに、此処に住むなら、何処かへ行く時はシズネさんも同行するんじゃないですか? だとしたら現場で見る事が出来るはずですから、より小さくなると思いますが」


 ダンダン・・・タンタン


 確かに一緒に行く事が多いはず。

 もし私が一緒に行かなくても、他の誰かしらが一緒に行くはずだから、魔族界での常識外れな事をするのは少なくなるよね、きっと。


 それにだ、今思いついたのだが、此処で暮らす間に一番懐いた誰かに責任を擦り付けてしまえば良いのだ。

 そうすれば私は責任と義務から解放される。

 これまさに最高だずぇ!

 だね。 

 

 で、だ。


「当の本人は何処よ?」

「あん? 気付いてなかったのか?」

「ふぇ?」

「ずっとお前の後ろに隠れようと頑張ってるぞ」

「ふぇ?」


 人サイズがハムスターの後ろに隠れるとか物理的に無理でしょうよ。

 だのに頑張ってる?

 ・・・確認、せねばな。

 だけど、ゆっくりと振り向いたら、そんな事をしてませんよ、的な誤魔化され方をされそうな気が・・・私なら誤魔化すからね。

 だからシュバッ!


「!?!?・・・近い近い近い!」

「・・・・}」

 

 シュバッと振り向いた眼の前にあったのは美少女、ティファちゃんのドアップだった。

 しかも視界目一杯に顔があって余白が全く無い状態だった。

 

「な、何をしてんのかな〜?」

「・・・隠れてるよ」

「そ、そう。頑張ってね」

「うん、頑張るよ」


 物理的に無理だろうけど・・・いや、遠近法を使えば隠れるのは可能か。


「隠れながらでいいから聞いて」

「うん」

「ティファちゃんは他所に行く? それとも此処に住む?」

「・・・此処が良いよ」


 まぁ、そうだよね。

 右も左も土地勘も知り合いも無い場所に踏み出す奴なんて脳ミソ足りてないと断言しちゃうよ。


「軽い方の保護者かぁ・・・」


 ・・・あん?

 そいつは私のイメージだね。

 都市部はお上りさんをカモにしようとする輩が多い、地方は排他的な住人が多い、すなわち地元以外は馴染むまでの苦労が半端ないのだ。


 ・・・個人的には脳内の意見とは逆だね。

 地方の方が大変だと思う。

 都市部と違って近所付き合いは、住んでいる部落集落だけでなく近隣も含まれるし、下手したら数キロ先の部落集落の人とまで付き合いをしっかりとしなくてはならないかも知れない。

 兎に角だ、都市部と違ってコミュ力が無いとやって行けないのが地方だと思っている。

 だからだろうね、田舎暮らしに憧れを持っている都市部でしか暮らした事の無い人が失敗して都市部に出戻りする事案が少なからずあるそうだ。

 伝え聞きだから真偽は知らんけどね。


 とまぁ、現代日本でもそうなのだから、近代にまで発展していないだろう文化レベルのこの世界で他所に移住するなんて至難の技を身に付けていないと失敗する未来しか待っていないと思う。


「保護者?・・・母さま?」

「ふぇ?」


 ちょっと待って。

 この、とんでもない事を言わなかったかい?

 うわっ!

 しかも凄くキラキラして期待のこもった表情で見て来ているぞ。


「保護者会、母さまばっかりが来るって聞いたよ」

「ふぇ?」


 専業主夫なんて少ないだろうから、平日に行われる保護者会に来るのは母親がほとんどだろうけど、それとこれとは関係なくないかい? 

 と言うか、何故に人型でないハムスターな私を母親にしようとする?

 周りには人型の女性・・・おいゴラ、なんで視線をそらす!?

 全く使えねえ年上共だ!

 こうなったら。


「ティファちゃんは幾つ?」

「18歳だよ」

「ふむふむ、前いた所の1年は何日だった?」

「えっと・・・360・・・360・・・何日だったっけかな?」

「うん、大体が分かれば良いよ。あのね、この世界は1年が700日なんだよ。だからティファちゃんは9歳なんだよ。で、だ。ここからが肝心! 私7歳なんだよね。年下の親ってどうなん?」


 なんとな〜く、同級生や年下には見えなかったからカマ掛けてみたら大正解だったよ。

 その事実を元に集まっている人の顔をグルーっと見回してみると、1人を除いて皆顔そらしたよ。 

 でも問題は、その1人なのだよ。


「生みの母さまじゃなければ、年下の母さまも出来るって聞いたよ」


 ぐっ。

 確かに継母なら有り得る話ではある。

 だがしかし!

 自分の子供より年下と付き合う父親! 事案じゃないのか!? 年が年ならロリコン扱いされても文句は言えないのだからな!


「シズネは私の母さま、嫌?」


 だから事案だっ・・・結婚する訳じゃ無いから事案にはならないか。

 そらから、美少女+幼女人格のウルウル眼を天然でやられると・・・破壊力パネェ!

 こ、これに抗えと?

 拒否せよと?

 大粒の涙を零す未来しか見えないのだが?

 私には無理だ・・・と言うか、これに抗う事が出来る人には固まって冷え切って【破砕】で砕くしかない人だ!

 だから。


「ふ・・・」

「ふ?」

「不本意ながら、本当に不本意ながら、養子に迎えてあげよう」



 ・・・

 ・・

 ・

 と言った感じで、14の身空で親をやる事になったのだ。

 と言ってもね、よくよく考えたら、ティファが何かをしでかさない限り、特別何かをしないといけない訳じゃないのでは? と至ったからね、呼び捨て以外には何も変えて無いのが現状だね。


 さて、そろそろ目的地に到着だね。


 ・・・回想中、無反応だったから、車内に手荷物として入れてくれたんでしょう。

 そして学園近くに来るまで無反応状態が〜、と言っても10分位だと思う。 

 私作飛行ユニット・スカージュ仕様を操縦するスカージュちゃんは、普通に150キロ位出すから、学園になら着くのは早いのだよ。


 さてさて、幾つか用事は有るけども、親方の用事から片付けるかね。


 

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