エピローグ ~空撮ダスク~
花屋に来た誠。
遠い友人。もとい恋人の菖蒲に渡す花を探す。
「何かお探しですか?」
店員が話しかけてきた。
「季節の花ってなにがありますか?」
無難な質問をしてみた。花の種類っていってもよくわからないし。
とりあえず、今の季節に合う花でいいかな。
「夏だから・・そうですね・・これなんかどうでしょう。」
男の店員が渡してきたのは、みたことのある花だった。
黄色い花で、夏の花ぽかった。
「お客さん・・誰に送る花ですか?」
「え・・?ぁ・・と、遠い友人に・・」
店員は、俺が手に持つ花をずっと見ている。そして、少し笑っていた。
「少しお待ちください」
といって、奥の方に行き、違う花を持ってきて梱包し始めた。
「ネリネっていう花です。まぁ、秋から冬にかけての花なので‘季節外れ’ですが」
季節の花を頼んだはずだけど・・。というか、秋から冬にかけての花って、今の時期にある・・のか?
「あ、代金はいりません・・っとできた。はい。・・また会えるといいですね。」
「え・・なんで・・」
完全に、心を読み取られている感じだった。
「その花の花言葉。また会える日をっていう意味なんですよ。」
「へぇ・・・あ、いやでも、代金いらないってのは・・」
「・・ほら、いいからさっさと渡してきなよ。金取るよ?」
「あ・・えと・・ありがとうございます!」
なんか、少し怖かったので、足早に去った。
それにしても、綺麗なピンク色の花だ。菖蒲はよろこんでくれるかな。
病室は何もないから・・やっぱ、少し明るい色の花がいいよな。
「MistyBlue」は自分の書く「小説短編集UF:Project」のひとつです。
((Unseasonable Flower Project =季節はずれの花))
このエピローグは、この短編集のどこかにつながります。
「MistyBlue」は最終話で完結です。ありがとうございました。




