第五十話・最終話 「恋愛は自由だ」
春。
神奈川県立統合学園。
桜が咲いていた。
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あの日から。
世界は少し変わった。
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《Lスコア制度終了》
そのニュースは全国へ広がり。
恋愛省もまた。
《感情共鳴省》
へと再編された。
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恋愛は。
もう“評価”されるものじゃない。
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好きになる理由も。
失敗する恐怖も。
全部含めて。
人の感情として認められるようになった。
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そして。
神奈川県立統合学園。
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A組。
D組。
Eクラス。
もう以前みたいな壁はない。
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畑には。
色んなクラスの生徒がいる。
笑ってるやつ。
喧嘩してるやつ。
照れてるやつ。
全部、普通だった。
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「松永ぅぅぅ!!」
「なんだ」
「焼きとうもろこし売り切れだ!!」
「追加焼く」
いつもの光景。
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一方。
柴崎と朝霧は魚を運んでいる。
「卒業後どうする?」
「海近いとこ住みたい」
「いいな」
自然な会話。
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藤堂と獅子原は。
相変わらず工具を並べていた。
「卒業後、燻製店やる?」
「ちょっと楽しそう」
笑い声。
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D組も。
もう完全に馴染んでいた。
転校当初の、不安そうな顔はない。
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そして。
旧校舎入口。
あの看板は、まだ残っている。
《感情共鳴実験クラス》
でも今は。
誰も“実験”なんて思っていない。
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ただ。
ここは。
恋愛を覚えた場所だった。
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夕方。
農地。
風が吹く。
収穫前のとうもろこしが揺れている。
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「……終わったな」
俺が呟く。
一ノ瀬雪乃が隣で静かに笑った。
「うん」
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最初。
俺たちは偽装恋人だった。
演技で。
制度のためで。
数字のためだった。
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でも今は違う。
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一ノ瀬が小さく言う。
「私、Eクラス来てよかった」
静かな声。
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「泥だらけになって」
「いっぱい失敗して」
「いっぱい笑った」
少し照れながら笑う。
「そしたら、本当に好きな人できたから」
心臓が少し跳ねる。
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俺は少しだけ笑う。
「俺もだ」
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風が吹く。
桜の花びらが舞う。
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一ノ瀬は、そっと俺の手を握った。
演技じゃない。
監視でもない。
点数でもない。
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ただ。
好きだから。
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遠く。
旧校舎から騒ぎ声が聞こえる。
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「柴崎ぃぃぃ!!」
「なんだ!?」
「D組まで焼きとうもろこし奪い合ってる!!」
「平和だなぁ……」
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俺と一ノ瀬は顔を見合わせる。
そして。
二人同時に笑った。
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この国は。
恋愛を管理しようとして。
恋愛を忘れかけていた。
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でも。
不器用なやつらが。
泥だらけになって。
一緒に働いて。
一緒に笑って。
一緒に生きて。
少しずつ思い出した。
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恋愛は。
評価じゃない。
競争じゃない。
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「恋愛は自由だ」
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夕陽が、旧校舎を照らしていた。
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完結
『学園恋愛監査官〜恋愛指数最底辺の俺は、学園一の美少女の“偽装恋愛”を暴いてしまった〜』




