母子で異世界に召喚されました。
初めまして。大塚千です。
異世界で子育てしたら、どんな感じかなーと思って書き始めました。
「いやー!あっちいくのー!!」
魔の二歳児がこうなると、手の付けようがない。
もう落ち着くまで、付かず離れず見守るのみだ。
さすがに人がいるスーパーで騒ぐと迷惑になるので、人が滅多に通らない階段の踊り場まで移動したところだった。
さて、どう声かけをしようかと考えていたら、
「世界を救いたまえ。」
という声がして、足元が白く輝きだした。
何が起こったのか考える前に、体が勝手に動く。
子供の安全確保。
急いで娘を抱きかかえる。
娘と私が、お互いの体で視界を埋めた、一瞬あと。
顔を上げると、見覚えの無い光景が広がっていた。
「成功、しましたね。」
その声と共に、大きな歓声が沸き上がった。
「やりましたね、神官様!」
「殿下、労いのお言葉痛み入ります。」
顔を上げると、10名ほどに囲まれていた。
突然の状況変化にぼーぜんとしてしまったが、娘が私にしがみついてきたことで我に返った。
急いで周りの状況を観察する。
私と娘を取り囲んでいる人達は、思い思いに喜んだり、泣いたりしている。
格好を見れば文化が違うのは明らかで、銅の様な金属の鎧を着て、剣を携えている人。
魔法使いの様なローブを着て、杖を持っている人。
神官様と呼ばれた人は、25歳くらいの女性。他の数名とは違い、金糸がふんだんに使われたローブを着ている。
殿下と呼ばれた15歳くらいの男の子は、赤いマントに青い詰襟の服。どこぞの勇者の様な色合いだ。
場所は、一言でいうなら神殿だろうか。
西洋風で、高い天井はドーム型になっており、外から差し込む光は、一部ステンドグラスを通って独自の色に変わっている。
この状況はなんだ?
いつか読んだ漫画か小説か、物語の中でしか起こらないであろうことが、起こっているようだ。
しかも、私だけならまだしも、まだ二歳の娘が一緒だなんて。
下手に動いたら何をされるか分からない。
一応歓迎されているようではあるけれど。
高揚した雰囲気が落ち着いてきたところで、殿下と呼ばれた少年に声をかけられた。
「あなたが、聖女様ですか?」
……は?
月一回程度の更新頻度を目指します。
どうぞ、よろしくお願いします。