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【76】ギルド

少し短めです。


 どうにかキッチンでの質問以来アンリエットさんからの追撃はは無く、またいつもの日常が戻ってきた。部屋に飾られた服を見るたびに、ニマニマが止まらないんだけど、それはそれよ。姿絵なんてあった日にゃ、日本の友人の部屋かと間違えてしまうかもしれない。まさか私がここに来てアイドル(ではないけど)にハマるとは思ってもみなかった。




「お義母さん、明日は予定どおり、ポーションの納品と足りない薬草の依頼を出してきますが、他に何か用事は無いですか?」

「そうだね、これといって頼むことはないよ。そうだ、せっかくだからアリスを一緒に連れていってやってくれないかい?」

「アリスさんをですか?」

「私ですか?」


 お昼、お客さんが一段落して落ち着いた頃、先に二階のリビングで食べ終えていたフレデリクさんが、明日の予定の確認をアンリエットさんにしていると、なにやら私も連れていってくれないかといきなり言い出した。


「いやなに、そろそろアリスも他の仕事を覚えても良い頃かと思ってね。まだまだアナベラも戻っては来れないし、覚えておいても損はないと思うよ」

「そう言うことでしたら、一緒に行きましょう。アリスさんには大変お世話になっていますし、色々とお教えしますよ」

「えっ、そんな、私の方がお世話になってるのに、こちらこそよろしくお願いします」


 ニコニコとフレデリクさんは、アナベラの代わりの私にそんなことを言ってくれる。働かせてもらってる身としては、全然気にしなくていいところなのに。


「一応身分証も持っておいき。今後、フレデリクが行けないときは頼むこともあるかもしれないからね」

「わかりました。アリスさんの登録も済ませてきます」

「ついでに、冒険者ギルドだけじゃなく、商業ギルドにも登録しておいておくれ」

「はい。一通り教えておきますね」


 私の返答は聞かずに、どんどんと話が進んでいく。冒険者ギルドに商業ギルド! ド定番だよね! なんかワクワクしてきゃう!


「商業ギルドもですか?」

「アリスはポーション作りにも興味があるんだろう?」

「はい、フレデリクさんから、水属性があれば理論的には作れるって聞いたので、ちょっとやってみたいなって」

「だったら、もし作れるようになったら、うちに卸してほしいんだよ」

「えっと、作れたらここで売るんじゃないんですか?」


 ん? どう言うこと? 訳がわからなくて首をかしげると、アンリエットさんは少し困ったように笑って言った。


「アリスはちゃんと自分の利益を考えなきゃダメだ。アリスが作ったもんを、私たちが勝手に売っていいわけがないんだよ。ギルドに登録して、販売許可を取って、店に卸す。これが普通の流れさ。販売許可の無いものを店に卸すことは出来ないし、モグリで売ってるヤツもたまにいるが、まぁトラブルの元だね。全うに生きていきたきゃ、ちゃんとしておいた方がいいよ。そしてうちに卸してくれるとありがたい。フレデリクもそうしてるんだよ」


 フレデリクさんを見ると、うんうんと頷いていた。てっきり作ったものはお店で販売するもんだと思ってた。


「あれ? でもさっき、ポーションの納品に冒険者ギルドに行くって言ってませんでしたっけ?」


 冒険者ギルドと商業ギルド。どっち?


「あぁ、店用に卸す分だけじゃなくて、フレデリクは冒険者ギルドにもポーションの卸しているんだよ」

「冒険者ギルドでもポーションを?」

「こちらにお世話になる前にギルドに卸していたので、それは続けているんですよ。駆け出しの頃は色々と冒険者ギルドにはお世話になったのでね。アナベラと結婚することになって、お店でのポーション販売もすることになったんで、商業ギルドに登録してこっちにも卸しているんです」


 ん? 商業ギルドに登録前に冒険者ギルドで卸してたの? え? でも、登録しないと売れないんじゃないの?

 眉間にシワを寄せ頭に(はてな)をたくさん浮かべていると、フレデリクさんに笑われてしまった。


「すみません、ちょっとややこしかったですね。冒険者ギルドは登録した時点で、素材や薬草、ドロップ品の買取りが可能なんです。もちろん自作のポーションも買い取ってくれます。商業ギルドはお店への販売ですから、信用の問題もあって別でに登録をするんですよ」

「へぇ、そうなんですね」

「フレデリクの場合はちょっと大変だったんだよ」


 アンリエットさんは肩をすくめてフレデリクさんを見た。


「冒険者ギルドでポーションを納品してたのに、結婚したとたんに納品が商業ギルドにいくのは勘弁してくれって言われたんだよ」


 なんでもランクは低いけど、冒険者ギルドに自前のポーションを作って買い取ってもらって生計をたてていたフレデリクさん。ポーションは冒険者にとっては重要なもので、持ち込む人もいるんだけど、定期的に持ち込んでいたフレデリクさんが、一切持ち込みを辞めるのは冒険者ギルドには痛手だったんだって。

 だから、無理の無い範囲でいいから、冒険者ギルドの方にも持ってきてほしいって頼まれたみたい。フレデリクさんのポーションは、質がいいって評判らしくて、泣きつかれたとか。

 どうりで、店に置いてあるポーションかよく売れるわけだ。


「それに、アリスは発想が面白いってリュカも言ってたしね、何か売れそうな物があればいつでも相談に乗るよ」


 笑ってアンリエットさんは私の肩を叩いた。あはは、そういうのもバレてんのね。

 取りあえずギルドに登録して、フレデリクさんに色々と教えてもらう約束をして昼食は終わったのだった。




読んでいただきありがとうございました!

今週もう1話更新します。


ではまたぁ~( ≧∀≦)ノ

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