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【49】アルトー家


「いらっしゃいませー!」

「アリスちゃん、今日も元気だね! フレデリクさんのポーションあるかい?」

「はい、出しますね! 何本要りますか?」

「今回はちょっと長めに潜るから、5本もらっていいかな?」

「わかりました! 少々お待ちください」


 私は軽く頭を下げると、店の奥の倉庫に行って、在庫のポーションを5本取りだしてカウンターに戻った。




 王都に来て早一ヶ月。ここは、リュカの実家のお店だ。砦滞在中に手紙で先触れはしてあったのと、隊長さんの紹介状のおかげですんなりリュカの実家のお世話になることになったのだ。


 着いた当日だと言うのに、姉夫婦も揃ってお祝いかと思うほどのもてなしを受け驚いた。

 リビングの長いテーブルに揃って座り、待ちきれないという感じで、ずっともじもじチラチラ私を見ていた一番小さな女の子が開口一番にいった言葉が挨拶でもなく


「おねちゃんは、おにちゃんのおよめさん?」

 

 だった。いや、ビックリした。最初はいい人を連れて帰ったのかと、家族の間で大盛り上がりとなったのだ。森で助けられた村娘設定だったために、助けたのはリュカだったのか? とか、リュカのどこが良かったのか? とか、リュカは優しくしてくれるか? とかとか……。途中からリュカの良いところとか、ダメなところとか、家族みんなで教えてくれて、私もリュカも大いに焦った。

 私はリュカの結婚相手でもなければ、恋人でもない。そんな噂が近所にでも回ったら大変だ。幼馴染みさんに誤解されてしまうではないか! リュカと2人で必死になって誤解を解いた。もしかして、そのお祝いって感じだったのかな? なんか申し訳ないな……。

 

 少し残念そうにするちょっとふくよかな肝っ玉母さん的なアンリエットさん(リュカのお母さん)だったけど、切り替えが早くそんな話は無かったみたいに、私の経緯をきいて心配してくれた。そして、快く受け入れてくれた。


 リビオさん(リュカのお父さん)は、冒険者と聞いていたので怖い人かと思ったら、終始笑顔で時に涙しながら私の話を黙って聞いていた。最後には「これも何かの縁だ、ここを自分の家だと思うといい」と言ってくれた。ちなみに婿養子なんだって。


 アナベラさん(リュカの姉)は大きなお腹をさすりながら、自分の変わりに働いてくれる私に感謝を、隣に座るフレデリクさん(アナベラさんの旦那さん)も、これからよろしくと受け入れてくれた。


 そんな話を興味津々で聞いていたテーブルの端っこに座る子供たち。弟のリノ・リシアン、妹のアミラはまだ私という存在を不思議そうに見ていた。リノ君は10才でちょっとやんちゃな感じ。リシアン君は8才ですました感じ。チラチラと私を見ながら二人で内緒話をしていた。アミラちゃんは5才、大きな目を輝かせながら


「アリスおねえちゃん、いっしょにすむの?」


 と嬉しそうに聞いて来た。結婚はしないけど一緒に住む。うん、なんだか変な感じだね。

 お姉さんはいるけど、一緒に住んでないしお母さんと一緒で忙しくて遊んでくれない。お兄ちゃんたちは私を邪魔にするのだそうだ。だから私に遊んでほしいのかもしれない。


「そうなの、これからよろしくね」

「うん! おうちの事教えてあげる!」


 とっても可愛い妹ちゃんに、私もほっこりした。従兄弟はみんな男の子だった。こんな可愛い妹ほしかった! リュカの家族はみんないい人で安心した。それと同時にちょっと寂しくなった。お父さん、お母さん、お兄ちゃん。元気にしてるかな……。


「アリスおねちゃん?」


 そんな私の表情を読み取ったのか、アミラちゃんは少し心配そうな顔で私に呼び掛けた。


「ううん、なんでもないよ。お店を手伝わせてもらうから、たくさんは遊べないかもしれないけど、お休みの日とか一緒に遊ぼうね!」


 期待させては悪いと思い、時間のある時は遊ぼうねと言えば、アミラちゃんはパァッと顔を輝かせて「うん!」と元気一杯に返事をしてくれた。こんな小さな子に心配かけちゃダメだよね。しっかりしなくちゃ!

 アミラちゃんの天使の笑顔でその場がなごみ、初日の夕食はとても楽しい時間となった。


 話をしていく過程で、またしても年を下に見られ、リュカが一緒に訂正してくれんだけど、なんとそこでリュカのお姉さんと同じ年だった事がわかり、初日で仲良くなってしまった。いやはや、同じ年で結婚出産とは恐れ入ったよ。すごいね。


「アリスはリュカと同じか少し下かと思ったよ」

「それ、保護してもらった時にも言われましたけど、私はちゃんと18才ですよ。というか、アナベラさんは私より上だと思ってましたよ」

「アナベラでいいよ、さんとか要らないし、そのかしこまったしゃべり方も要らないわよ。なんかむずむずしちゃう。それにしても、私そんなにフケて見えるかな?」

「フケて見えるって言うか、大人の女性に見えたっていうか、本当羨ましい……」


 最後は本音も漏れてしまい、ちょっと笑われてしまった。

 

 食後には、約束通りアミラちゃんが家の中を説明してくれた。

 一階には店舗と在庫の倉庫、フレデリクさんが調合に使う部屋がある。

 二階は住宅で広いリビングとキッチン、お風呂にトイレ。

 3階が階段左横がバルコニー。階段正面の部屋がリビオさんとアンリエットさん部屋で、隣が空き部屋。ゆくゆくはアミラちゃんの部屋になるらしい。今はお父さんとお母さんの部屋で一緒に寝てるんだって。その向かいに客間。突き当たりの左側がリュカの部屋。右側がアナベラの部屋で、私が使わせてもらうことになった。

 さらに上の屋根裏部屋が、リノ君とリシアン君の部屋になってるそうだ。屋根裏部屋とか、秘密基地みたいで楽しそうだな。

 それにしても。大きい。家が大きい。私が使わせてもらう部屋だって、家のリビングくらいある。12畳くらいかな?

 2階のリビングキッチンだって、3階の部屋部分が全部の広さだし……。リュカん家なめてたかも……。

しかも、この店舗兼住居、庭があるんだよ。一画にはちょっとした畑もあって、薬草類らしい草が数種類植えられていた。もう、日本で言うところの豪邸だよね。これで平民って言うんだから、貴族のお家はどうなることやら……。異世界基準半端無い。


 そんな私が住んでいた、4LDKの一軒家より倍以上広いお家にお世話になること1ヶ月。売り子を抜けるアナベラにみっちり接客とお店の品物を教え込まれ、なんとか出産までには店番も順調にこなせるようになっていた。

 お店の商品と値段を覚えるまでが大変で、日本の商店なんかと違って、それぞれに品名も値段も無かった。

 後で届けると言われていたメモ類は、5日ほどで届けられ(届けてくれたのが隊長さんではなかったのは残念だった)そこから、怒涛のメモラッシュが始まった。


「アリスって読み書きも出きるのね」


 アナベラに言われた時は正直困った。この世界での識字率は低い。ただの村娘がスラスラと文字を書く事に驚かれた。


「父さんと母さんが、困らないようにって教えてくれたの」


 と言えば


「お父さんとお母さんも読み書きが出きるなんて凄いわ。うちなんて、母さんは出きるけど、父さんは全然ダメだもの」


 と、さらに驚かれた。ヤバい。修正のしようがない……。リュカさーん! ヘルプミー!

 もう笑って誤魔化せ作戦でエヘヘと笑えば、不思議な顔をされた。後でリュカに適当に理由をつけて説明してもらおう。


 そんなこんなで、メモを見ながらではあったけど、店番も出来るようになったのだ。



リュカの家族構成

リビオ:父(41)

アンリエット:母(37)

アナベラ:長女(18)

フレデリク:アナベルの夫(20)

リュカ:長男(16)

リノ:次男(10)

リシアン:三男(8)

アミラ:次女(5)


こんな家族構成になってます!


ではまた明日~( ≧∀≦)ノ


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