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-10- 村娘は頑張ります!


 説明をする中で、ひとつ不思議なことが起こった。それは文字である。

 教科書は日本語。隊長さん達には読めなかったのだ。ノートに絵を書きながら説明していた途中で、無意識に日本語で文字を書いた。なぜかそれがみんな読めたのだ。ただ、【部活ブカツ】や【陸上リクジョウ】【日本ニホン】なんかは、文字として読めるけどあくまでも読み方の文字らしい。同じ意味をもつ事柄が無いからみたいだった。

 元々ノートに書いてあった授業内容なんかは読めなくて、さっき書いたのは読めて……、なんだろう。不思議だ。

 【学校】なんかは、【騎士学校】や【王立学園】があるらしくそう言うものは読めるらしい。


「あー、学園のことね、アリスちゃんって育ちがいいのね」


 などとエルさんに勘違いされ、誰でも平等に学べると伝えると、意識の高さに驚かれた。

 この世界は、やっぱり小説で読んだことあるような、王様がいて貴族と平民がいるそうだ。

 学校なんかは一応平民の子も通えるみたいなんだけど、平民でも優秀な子とか大商家の子とかで、誰でも彼でも通えるわけではないらしい。


 ちなみにリュカは平民出身で、冒険者だった父の鍛練のおかげで、小さい頃から憧れていた騎士学校に一般枠で入学したらしい。魔物狩りは父の教えで得意だったこともあり、今年の始めに晴れて魔物討伐部隊に所属したと言っていた。

 隊長クロードさんと副隊長オルガンさんは同期で騎士学校卒業後騎士団入り、隣国での戦いが評価されての抜擢。フランクさんとエルさんも同期で、その頃小隊で一緒だったんだって。隊長さんの引き抜きで、セットで討伐隊いりしたらしい。

 ちなみにこっちの四人はお貴族様でした。不敬罪とかで切られないかとビクビクしてたら、この部隊の人たちは仲間意識が強いから、みんな家族みたいで、公式の場以外では身分は気にしないらしい。特殊な状態だし「アリスは礼儀正しいから大丈夫だよ」と言われてちょっとホッとした。

 砦の料理人さんことジェロームさんは、冒険者上がりの人で、戦争の時に傭兵として雇われて戦ってた凄く強い人なんだけど、支給された食事が不味くて自分で作ってるうちに目覚めちゃったらしく、いい年だし本業を料理に変更しようか迷ってたところ、砦の料理人の話をもらって来たらしい。戦えるし料理上手いしでとても重宝されてるとか。


 他の隊員さんたちも、貴族だったり平民だったりと、本当に様々みたいだった。


 さて、みんなのことは置いといて。私の事である。


「アリスの事なんだが、王都に戻るまでは【魔物から逃げてきた村の娘】と言うことにする。精霊の事は一切口にするな」


 隊長さんは精霊に関して、研究機関の事があるため出来るだけ秘密にしておきたいと言っていた。


「あそこの連中は知識に貪欲だからね、何も分からない状況で、噂だけが広がったら速攻で連れてかれちゃうわ」

「同意する」

「王都から離れた場所なら、多少世間知らずでも通るでしょ。リュカ、あんたがアリスちゃんに王都に戻るまで色々と教えて上げなさい」

「はい、わかりました!」

「よ、よろしくお願いします!」


 かくして、王都に戻るまでの10日間。この砦でリュカから一般常識を学ぶ事となったのだった。








 5日目の朝、水場で洗濯をしているとすっかり仲良くなった隊員さん達が、ちょこちょこと来ては色々と聞いてくる。


「アリスさーん、昨日取り込んだ隊服何処だっけ?」

「備品庫の左棚、上から順にサイズ別でしまいました!」

「アリスー、薬剤の換えどこー?」

「水場入り口の横にある、棚の一番下です!」

「アリスっちー、僕の手紙来てないー?」

「マルクさんへのお手紙は、4日前から来ていません!」

「アリスちゃーん、お兄さんを癒してー!」

「エルさん、今忙しいので後でにしてください!」

「嬢ちゃん! ワリーけどこっちも手伝ってくれ!」

「はーい! 今行きまーす!」


 ジェロームさんが水場近くの食品保管庫に来たついでに私を呼びに来た。


「すみません、後干すだけなんでよろしくお願いします」

「それくらいやっとくから、アリスはジェロームさんとこに行ってきな」

「レダさんありがとうございます!」


 今日の洗濯当番のレダさんに頭を下げ、手をパパッと布で拭いてから急いで厨房へと向かった。

 途中で執務室に向かう隊長さんが見え、小走りのまま近くまで行くと元気良く挨拶をした。


「隊長さん! おはようございます! 今日もいい天気ですね」

「ああ、アリスおはよう。色々と皆が頼み事をしているが、大丈夫か?」

「はい、これくらい大丈夫です」


 色々と頼み事。それはもう、色々とだよ。洗濯は隊員さん達が当番制で順繰り回してたんだけど、大変そうだったので毎日入れてもらったのだ。洗濯物を畳んでしまうのも、もちろんやっている。というか、見るに見かねてやらせてもらっている。備品庫。酷かったんだ……。

 順繰りだしね。誰でもしまうし出すからね。種類別には一応なっているものの、これはここら辺。あれはここら辺。と、物凄く大雑把なこと……。

 魔法があるからそんなに洗濯物なんて無いんじゃ? と思ったけど、生活魔法も得居不得意があるらしく、全員が使えるわけではないらしい。最近不思議なことでいっぱいなんだけど、魔物の血って、生活魔法じゃ落ちないんだって。魔物だけあって、魔力を含む血は魔力では流せない。とかなんとか。

 自分の制服を洗った時に使わせてもらった薬剤は、自然の素材から作った物で、ギルドの解体屋の奥さん達が、試行錯誤の上作り出した薬剤らしい。さすが主婦だ。

 他にも食堂掃除や、厨房の手伝い。討伐から帰ってきた人たちが怪我をしていれば手当て﹙軽傷者のみだけど﹚なんかも手伝った。

 手洗いの洗濯は大変だけど、小学生の頃田舎のおばあちゃん家にお泊まりした時に、何事も体験だからと、桶で洗濯板使って手洗いしていたから何とかなった。おばあちゃん感謝。

 掃除は学校で掃き掃除とか拭き掃除とかやってたし、厨房での皿洗いや野菜の下準備なんかは、母の手伝いで経験済み。ちょっとしたモノなら作れるけど、こっちの材料が分からないから手は出さない。創作料理は出来ません。

 小さい頃からスポーツをやっていたから、少しの怪我なら対処できた。さすがに酷い怪我は見せてくれる間もなく奥の部屋に連れていかれるので、見たことはないけどね。


「そうか、それなら良かった。アリスは良く働いてくれているから、皆助かっているよ。無理せず疲れたら適度に休むように」

「はい、ありがとうございます! じゃあ、ジェロームさんに呼ばれているので失礼します」


 優しく微笑んでくれる隊長さんに、ガバッとお辞儀をして私は急いで食堂に向かった。朝日を浴びた隊長さんの笑顔は、いつもの五割増しくらいの破壊力なのだ。赤くなってしまっただろう顔を見られたくなくて、急いでその場から離れるのだった。




一気に人が出てきた!まだ名前無い人とかいます(汗)


読んでいただきありがとうございました!

更新時間を変更しました!

明日からにしようかと思ったら、間違えて今日からになってしまいました(>д<*)


明日から更新時間は18時となりますので、よろしくお願いします!


もしよろしければ、応援よろしくお願いします(*´艸`*)

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