1話 専務と出張に行って禿げをバカにしたら経費でカニを食べれた話
「いや~、専務、いい湯っすね~。しみるな~、やっぱ冬は温泉っすね~」
「だろ~、たまにはさ~、いい思いしないと~」
「そうっすよね~。でも、いいんすかね~。出張でこんないい旅館泊まって」
「いいの、いいの。僕と来た時くらいはさ、いい思いさせてあげるよ~」
「いつも4000円くらいのビジホなんすよ~、自分」
「今は経費節約ってうるさいからね~、けどね、僕の若い頃なんかもっとひどくてさ、車中泊とかさ、当たり前だったよ~。よくやったよ~僕も」
「まじっすか!やばいっすね!車中泊っすか」
「そうそう、社長とさ~。けど、楽しかったな~」
「車中泊で楽しいとか、なくないっすか~。自分ならその日に会社辞めますよ~」
「ははは、若い人はそうだろうね~。やっぱり時代かな~」
「ところで専務~?」
「ん、なんだね~?」
「この後の、食事でお酒も落ちるんすかね~?」
「落ちるよ~。落ちる。落ちる。そんなの落ちなきゃ始まらないでしょ~」
「まじっすか~!最高っすね~」
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「うあ!割烹っすか~、めっちゃうまそうっすね~」
「だろ~、ここの料理はお勧めなんだよ~」
「おねさん!ビール瓶で2本ねっ!あっ、待って待って、やっぱ4本」
「飲むね~。やっぱ若者はそうでなきゃ」
「いや~、落ちるんなら、とことん飲みますよ~専務も飲んでくださいよ~」
「ははは、僕も明日の仕事に差し支えない程度に飲んじゃおうかな~」
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「専務~」
「なんだね~」
「専務ってぶっちゃけ禿げてるじゃないっすか~」
「君~、結構失礼だね~」
「実は前からずっと思ってて~、言いたかったんすよ~。こういう時じゃないと言えないじゃないっすか~」
「えっ、前から思ってたの、傷つくな~」
「いやいや、専務の禿げ、かっこいいと思ってるんすよ?。なんつーか、男らしいなって。・・なんすか?気にしてるんすか?」
「気にしてるよ~。僕だって若い頃はフサフサだったんだよ~。あの頃はビートルに乗ってさ~」
「あっ!専務、ちょっ、あっ!ああああああ!」
「なになに?どうしたの?」
「凄いの発見しちゃったっすよ~!これっ!これこれ!」
「これカニじゃない。18、000円もするよ~」
「落ちるんすか?カニも?」
「えっ、えええ!!ちょ、えええええ!」
「どうなんすか?専務」
「おち・・・・ん~・・・・る」
「ブッ!」
「ちょっと、ビール吹かないでよ。飛んできたよ、汚いな~」
「まーじっすか!?カニも落ちるんすか」
「だって君、僕の自尊心、凄く傷付けてから頼むんだもん。大物ぶりたくなっちゃうじゃない」
「おねーさん、おねーさん、これ!カニね!カニ!いや~、俺、専務の部下で良かったっすわ~。」
「だろ?ははは」
「あははは」
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「お会計86、763円になります」
「・・・・」
「中岡君!」
「はい!」
「今日の商談、必ず纏めるぞ!」
「はい!」




