45 外伝 ……ルバレロの街
ルバレロの街バイアルから移住者を受け入れ、”南バイアル”は活気づいている。
名前が”南バイアル”のままでは何かと混乱するが、名付けのセンスはルバレロにはない。当分このままになるだろう。
「私が死ねば、誰かが新たに名前をつけてくれるさ」
死ねる身体になった。怖いようなホッとしたような複雑な気持ちだ。
以前は、呪いを解くことに固執し、ペケーニョ島まで、はるばる旅をしたが、それも懐かしい思い出になった。
穢れの元をルシオ魔導師達と絶つことが出来た。
あれから三年。東沿岸部は、急速に変わりつつある。
ヌエボトニスを取り仕切っていた、プラージャの魔法使いが亡くなり、今では東にある都市は総て、”東沿岸都市群”となった。
その土地の責任者となったルバレロは、シュバリスとの窓口を受け持つこととなった。
今、シュバリスはペケーニョの植民地と化している。
ルバレロはその事を残念だとは考えない。
穢れを取り去ってくれたのはブルホの魔導師達なのだから。
ただ、あまりにも急速にグランデ大陸が変わろうとしている。
「サンティシマ・ロペスが、過去、ぺケーニョ島へ逃れ、そこで魔導師の始祖となっても、空属性の知識を伝えなかった訳が、今になって何となく分かる。
彼は怖かったのではないのか。
この穢れた大陸へ、ペケーニョの人々を来させないために教えなかったのではないかと。
だが、もうサイは投げられたのだ。
誰も、この流れを止めることはできない。
ルバレロが立つこの屋敷の屋上からは、南海岸が一望できる。
この場所からは、彼が作り上げた塩田がよく見えた。
海の向こうに沈みかけた太陽が、
塩田の円形の池をひとつひとつ、
金色の皿のように照らしている。
淡い水色の池は、まだ海の気配を残し、
薄い青の池は、夕陽を吸い込んで紫がかる。
そして、白に近い結晶池は、
霜を敷いたように光を返し、
まるで地面に星が落ちているようだった。




