047 天馬の告白と願い
翌朝、天馬は7時前に目が覚めた。身支度を整え、階下に下りる。朝食を済ませ、大蛇のみんなを待つ。最初に下りて来たのはリーフだった。リーフも天馬に気付いて、天馬のいるテーブルに近づき、そのまま天馬の前に座った。
「テンマ君。もう、朝食、食べた?」
「ええ、美味しかったですよ」
「私を待ってた?」
「大蛇のみなさんを待っていました」
「おお、テンマ。リーフも、今から飯か?」
アルフとマリオも席に着きながら、話しを振ってくる。
「私は、今から。テンマ君は、もう食べちゃったって。私たちに話があるみたいよ?」
「なんだ、畏まって。飯の前が良いか?」
リーフの言葉を受けて、アルフが天馬に確認する。天馬は、静かに口を開く。
「アルフさん。マリオさん。リーフさん。大蛇の皆さん。これから話す事は他言無用、秘密厳守でお願いします。
僕は、皆さんに隠していた事。出来るようになった事があります。
隠していた事は、僕は『鑑定』が使えます。出来るようになった事は、僕は『付与』が使えるようになりました。それで、昨夜『付与』した物が、これです」
そう言って、天馬が取り出した長袖を大蛇面々が覗き込む。天馬は、カトラリーからナイフを取って、切り付け。フォークで刺す。長袖に傷がない事に大蛇面々が目を丸くした。
「これは、『防刃』の付与を施した結果です。出来れば、明日の装備にこのような『付与』を施したいと思っています。皆さんの武具を預けて頂く訳にはいきませんか?」
天馬の言葉を聞いても大蛇面々は、黙っている。天馬が沈黙に耐えきれずに口を開こうとした瞬間、
「すげぇーな。テンマ、これは。俺の服でも出来んのか?」
アルフの質問に天馬が「品質に依ります」と答える。すると、アルフが
「今から、俺たちの部屋に来てくれ。そして『付与』してくれ。マリオもそれで良いな」
「もちろんです。装備の強化は、冒険者にとって『利』以外の何物でもないですから。それで、テンマ君『付与』の代金は? どれくらい支払えばよろしいですか?」
「えっ。代金ですか? 明日の装備に限っては、恩返しのつもりなので、要りませんよ。それ以外は、良く分かっていないので、あとで教えてください」
「テンマ君。私もお願い。アルフ達が終わってからで良いから」
リーフも天馬の『付与』を希望した。大蛇の面々に『付与』を行う許可を得た天馬は、話を進める。
「じゃあ、今からアルフさん達の部屋に伺って、『鑑定』をして『付与』を施す物を預かる。その間にリーフさんには食事を済ませ、アルフさん達と僕が、戻ってきたら、次は、リーフさんの番で如何でしょう?」
「俺は、構わねぇぜ。マリオもだろ」
「そうですね。私もそれで構いませんよ」
「私も、それでOK」
「じゃ、早速、部屋に行くぞ」
そう言いて、アルフとマリオが席を立つ。天馬も席を立ち、アルフ達を追いかける。後ろでリーフが注文する声が聞こえた。




