都市ダルタルへいざゆかん
サルーテ草原は自然溢れる草原で<スパペネシープ>と呼ばれるデカい角と尻尾が生えた羊や<ムーブリーフ>というその名の通り動く葉っぱがおり手足が生えているモンスター達がいる。
<ムーブリーフ>は可愛くデフォルメされているが葉っぱに黒い線の様な手足が生えているのは少し受け入れがたい。
サルーテの街から門を抜けると緑一色の草原が俺とリリアを出迎え、たんぽぽの綿毛のような物や千切れた葉っぱが風に乗り舞っている。
ウィル「ここから都市ダルタルまで歩いて一時間ぐらいだ。」
リリア「不便ね。もう少し早くつけないの?」
ウィル「草原の中心ぐらいに馬のレンタルしてる商人がいるけど今回はパス。頂点戦争はこの前みたいな決闘もあるんだろう?なら連携をちゃんとしておきたいしレベル上げもしておきたい。」
リリア「それなら付き合うわ。それにあなたに色々教えて欲しいし」
目に映るミニマップを縮小し目的地を映るようにする。
俺たちは歩き始め都市ダルタルを目指す。
ウィル「そういや前までどうやって戦ってたんだ?」
リリア「スターレイを<ムーブリーフ>に当てて経験値を稼いでいたわ。時々森に入って<フォレストフェアリー>も倒してたけど」
ウィル「お、<フォレストフェアリー>か。確か超低確率で<森妖精の木杖>ってアイテムを落とすみたいでなそれが強いって今騒がれてるな。」
<森妖精の木杖>の魔法攻撃力も高く武器スキルであるパッシブスキル<妖精の導き>で風魔法の魔法詠唱が早くなったりアクティブスキル<妖精の神秘>はパーティー全体の攻撃力アップと移動速度を上げると言うものでかなりの強さを誇っている。
<森妖精の木杖>を狙うだけの集まりがある程で今最も熱いアイテムと言える。
リリア「そのくらい知ってるわ。」
ウィル「珍しい。リリアがそこまで知ってるなんて」
ゲーム初心者とはいえリリアは指を咥えて待つタイプじゃないのは出会って2日目の俺でも分かる。
しかしそんな時間があるのならもっと対人戦の事も学んで欲しかったなぁ・・・
対人戦の方は俺が教えないと今後の決闘に影響が出そうだ。
リリア「バカにしないでちょうだい。私だってこの一ヶ月何もしてなかった訳じゃないのよ。情報収集ぐらいしてるわ。」
その割には星魔法を選んだり、レベル6だったりするのだが今ここでそれを言うと痛い目を見そうだ。
ウィル「というか詠唱時間も長い星魔法で一人でやるのは大変だったろ、誰か呼ばなかったのか?」
リリア「・・・うちの身内電脳世界に適性がなくてログイン出来なかったのよ。それにマリア達は私の正体分かってだけど誰が頂点戦争の参加者か分からないから警戒してたのよ」
ウィル「なるほど」
電脳世界へは誰でも行けるが体質が合わず酔ったり気分が悪くなったりする人もおりプレイできない人も一定数いる。
リリア「そんな事はいいわ、先に進みましょうまだまだやる事はいっぱいあるわ」
ウィル「はいよ、敵とは積極的にエンカしていくからな」
リリア「・・・エンカ?」
ウィル「?エンカウントの略だけど」
リリア「ああ、なるほど。」
ウィル「あ、そっか!RPGどころかゲームすらやった事ないんだっけ」
リリア「そうよ、戦闘機に乗せられて今から空を飛んでくださいって言われた気分よ。何にも分からないわ!攻略サイトも略語でいっぱいだったから何書いてあるかいちいち調べないといけなかったし」
納得だ。
しかし初心者にしも一ヶ月もあってあの進捗はおかしいと思う。
まあ頂点戦争って懐誠グループの選ばれた会社員の子供達がやってるみたいだからな、親がもう亡くなってるリリアは例外らしいしな。
現実で会社も経営してるみたいだし忙しいんだろうな。
お嬢様ぽいし周りにゲーム詳しい人とかいなかったんだろう
ウィル「まあ、これからは俺がいるし色々教えるよ」
リリア「助かるわ。・・・本当に助かるわ」
俺はリリアにゲームの知識を教えつつ、敵を倒しがながら都市ダルタムに向かっていった。
サルーテ平原を抜けて森の小竜と戦ったミルダルシアの森を抜け、しばらく歩くと大きな橋が見えて来た。
リリア「大きい・・・ロンドン橋、いえそれより大きいわね」
テスガ川にかけられた橋は石橋で1000mはあるだろうか
幅も多数のプレイヤーが戦闘をしても余裕があるぐらい広い
長さ、幅、川からの高さ全てが大きい。
ウィル「そのせいでモンスターの沸き場所になってるけどな」
この橋にいるプレイヤーのほとんどは橋を渡る事が目的ではな<ワタバード>というモンスターを狩るためだ。
コイツの素材である<水の羽>は強化素材にすれば武器の振る速度が速くなったり、防具に使用すれば回避に補正がかかったり移動速度が上がったりと優秀な素材になる。
なのでここの狩場はいつも埋まってるみたいだ。
リリア「この橋、耐久性大丈夫なのかしら、川も急だし、維持費も・・・というか橋なんて重要な場所に兵士とか関所が無いのはどうなの?」
ウィル「これファンタジーだから。維持費とか言わないで」
リリア「あら、ごめんなさい」
俺の小言を適当に流したリリアと一緒に橋を渡っていく
リリア「・・・そういえばこのモンスター達ってどこから来るの?」
ウィル「え?」
リリア「モンスター達っていつの間にかいるじゃない、それにこんなに狩って絶滅とかしないの?」
ウィル「しねぇわ。ゲームだわコレ。そんなリアル設定じゃ無いから。」
リリア「てことは乱獲しても大丈夫なのよね?ならドロップ率もあるけど人を雇ってここで狩りをさせれば商品は手に入りそうね。その素材って相場はいくら?」
ウィル「これそうゆうゲームじゃねぇから。」
リリア「いいでしょ。お金はいくらあっても困らないわ。それに忘れたの?私達3日以内に30万ゴールド稼がないといけないのよ。」
ウィル「うっ!」
嫌な事を思い出させてくれる!
そんな俺達の前に<ワタバード>がポップする
リリア「さあ狩るわよ。」
ウィル「はいよ」
剣と盾を取り出し構える、しばらく狩りをしてある程度の連携は取れる様になって来た。
タンクである俺が敵と対峙し、後方でリリアが後ろで援護する基本の形が出来てきた。
元々賢さはあるので今ある程度自分で魔法を選択できる様になってきた。
まず俺が<スカルクラッシャー>で相手を怯ませた後<ラウンドエッジ>のコンボで相手の体力を削った後相手が反撃してくるが盾でガードする。
そして<詠唱短縮>を使い発動したスターレイをリリアが放ち
<ワタバード>の体力を0にする。
ウィル「よし、いい感じだな」
リリア「慣れてきたからもう平気よ。あ、ドロップした」
ウィル「一発か運いいな」
リリア「ふふん、幸先いいわ。よし<水の羽>をもっと狩りましょ」
ウィル「いや、まて。先に都市にいこう。消費アイテムも少なくなってきたし」
???「見つけた!!!」
都市に行く提案をした時前方から声が聞こえた
明「もっと対人戦のこと学んでて欲しかったなあ!」
聖羅「あら、それはごめんなさい。けどあの頃の私に学ばせても頭には入ってこないでしょうね。」
明「それはそうなんだが・・・」