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第53話 刻一刻と迫る最後

 俺はゆっくりと刀を振り上げる。


 するとニークは『ヒィィィィィッ!』と言いながら周りの兵士に喚き散らす。


「お、お前達ッ! ボサっとしていないでとっとと我を守るのだッッ!! じゃないと死刑だ!!」


 中々動かない兵士達に死刑という言葉で脅して、無理やりやらせるわけね……。


 正直こんなところでみんな死にたくないだろうな。


 しかも自分が嫌っている第2王子の命令で。


 流石に関係のない兵士まで何かしようとは思わない。


 と言うかこれで殺したりする奴は結構やばいと思う。


 まぁこの世界では違うんだろうけど。


 俺は刀を下ろすと共に、兵士と生徒、教師全員にある魔法をかける。


「【エリアスリープ】ッ!」


 そう言った瞬間、ニークと俺と学院長を除いた全てが眠りについた。


 それを見たニークと学院長は驚愕に目を剥いている。


「なッ……!? どう言うことだ!? おいッ! 早く起きて我を守れ! そして奴を殺せッ!」


 ニークは寝ている兵士に喚く。


 学院長は俺をじっと見たままだ。


 まぁこの人は後で記憶を消して仕舞えば良いか。


 俺は腕の中で眠っているサラに目を向ける。


 サラは心地よさげに寝ているが、目元は涙が溜まっており、頬には涙が流れた跡ができていた。


 それを見て更に怒りが増幅する。


 ああああッッ!! くそッッ! 俺がもっと早く助けていれば……いや今はそれよりサラを寝かせないと……。


 俺は爆発しそうな怒りをギリギリ抑えながら、サラを魔法の指輪から出したベッドに寝かせる。


「少し待っていてくれ……すぐに終わるから……」


「……んぅ……」


 俺が腕を抜けば、サラが身をよじる。


 その姿に癒されるが、先ほどの泣き顔が忘れなれない。


「もう2度とこんな目には合わせないからな……」


 俺は最後にそれだけ言って、サラのベッドの横に《古代結界魔道具》を設置して発動させる。


 これでサラは誰も傷つけることはできない。


 俺は再びニークの方を向き直り、一言。


「それじゃあ始めようか、クズ野郎」


 俺はゆっくりと歩いていく。


 それと同時に学院長に本気の殺気を。


 ニークには気絶しないギリギリの殺気を浴びせる。


 すると学院長は一ミリも動けなくなり、顔は冷や汗でびしょびしょだった。


 ……美人の汗かいているところは見ないほうがいいな。


 俺はスッと目を逸らしてニークを見るとヒイヒイ言っていた。


 その姿が太ったブタに見えて無様だなと思ってしまったが、それではブタに失礼だと思いすぐに止めた。


 俺はニークの目の前に立って奴の首を掴んで持ち上げる。


「ぐあッ!? や"、や"めろ"ッ!!」


 俺が圧倒的に優位な立場にあると言うのに、こいつはまだ命令口調なんだな……。


 まだまだ足りないと言うことか。


「お前はまだちっとも反省していないことが分かったから、今からお前の四肢を一つずつ折っていく。止めてほしければ土下座するんだな」


 俺は奴に顔を近づけながら脅す。


 奴は俺が怖いらしいが、それでもプライドが土下座を許さない様だ。


 はぁ……しょうがないな……。


「それじゃあまずは右足から行くぞ」


 俺は足を闇夜で斜めに切り落とす。


「ぎゃああああああああッッッッ!!??」


 奴は空中で大量の血を流しながらジタバタ暴れる。


「暴れるな、落としてしまうだろうが」


 俺は奴の首をより強く握る。


「んぐッッ!? や……やめ…………ッ」


「なら土下座すると言え」


 俺がそう言った途端に、奴は顔を思いっきり顰める。


 その瞳には『なぜこの俺が下賎な奴に』と言う感情がありありと伝わってくる。


 これだけしてもまだダメか。


 なら次行こう。


「次は右手だ」


 俺右手を切れ味の悪い鉄の短剣で切り落とす。


 闇夜は綺麗に斬れるから比較的痛くないが、この短剣は斬ると言うよりは、無理やり押し潰すような感じなので、先程とは次元の違う痛みが奴を襲う。


「いぎゃややややああああああッッ!! アガッッ」


 奴はあまりの痛さに涙や鼻水を垂れ流しながら気絶してしまった。


 俺は奴の鳩尾を殴って無理やり起こす。


「ガハッッ!? グゥゥゥゥゥ……いだい……もうやめ"でぐれ"……。なんでもする! だからどうかやめてくれッッ!!」


 俺は奴の首を離す。


 するとニークは地面に叩きつけられて咳き込みながら悶絶している。


「早く土下座しろ」


 俺は土下座を促す。


 するとニークは懐からあるものを取り出した。


 それは俺が前回使っていた転移石と同じものだった。


「デュフフ! 我が謝るわけがないだろうが!! お前は絶対に死刑にしてやるからなッ! 覚悟しておけッッ!!」


 そう言って転移石を割って転移してしまった。


 俺は一度刀を納めて、未だに動けないでいる学院長の元に一瞬で移動する。


「学院長、貴女にはこの出来事の記憶を消さしてもらいます」


 俺がそう言うと、ガタガタ震えながら聞いてきた。


「記憶を消すなど今の魔法では不可能なはず……それは脅しなのか?」


「残念ながら俺も魔法は使えませんが、そのかわりこんなものがあるのですよ」


 俺は懐からある魔道具を取り出す。


「これは対象の記憶を好きなようにいじれると言う魔道具です。まぁ一回しか使えないのと、同じ人には一度しか使えないのが欠点ですが」


 俺がそういうと、更に震え出す。


「君は……一体何者なんだ……?」


 俺はどうせ学院長の記憶は消すので、魔道具を発動させながら本当のことを言う。





「俺は1人の少女を救うために転生した、世界最強の男だ」





 俺は発動したのを確認すると、あのクズ野郎が逃げた場所に転移した。







☆☆☆







 ソラが消えると、全員が次々と目を覚まし出した。


 それを見ていた学院長は、空を見ながら呟く。


「私は一体何をしていたんだ……?」


 それはこの場にいる全ての人間の思いを代弁したのもだった。


 


 みんなが首を傾げている間、第2王子の最後はもうすぐそこに迫っていた……


読者の皆様へ


この作品が、面白かった!続きが気になる!などと思っていただけた方は、


下にある☆☆☆☆☆を★★★★★にしてくださると嬉しいです。


勿論、★☆☆☆☆でも良いので入れてくれると作者が喜びます。


またブックマーク登録やいいね、よろしくお願いします!


ではではまた次話で。

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