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勇者パーティー in オーディナル聖王国 48




「神を殺す剣?」




 訝しげな顔になったの現教皇。何故、そんな顔になったのかというと、現在、一緒に“勇者”と“光の戦乙女の契約者”が座っていた。


「はい。お話は聞いているかもしれないですが・・・」


「それを作れるかもしれない錬金術師を探しに行くと?」


「そういうことになると思います」


 アレスは真剣な眼差しで言った。その目にはしっかりとした光のようなものが宿っていた。


「だが、あなた方は国々を回らないといけないことになっています。それをやめると?」


「違います。その旅に回るのをあなた方の英雄に任せたいと・・・」


「なるほど、私の方からも彼らに協力するようにとのことですか?」


「そういうことになると思います」


「“理の剣”が初めて語ったことですから、間違いないでしょう。それに剣が作られた経緯についてもわれわれの資料でも確かに残っています」


「そうですか・・・」


「しかし、剣の素材には何が必要となるのですか?」


「よくわかりません。ただ、神と称するものに挑まないと・・・」


「そうですか・・・神と称する者たちですか・・・。それが異界より魔王を呼び出し、世界を滅ぼそうとしている輩ということですか?」


「ええ。封じられた魔王よりその情報を得ました」


「封じられた魔王・・・」


「“理の剣”が以前に封じた魔王と接触することがあり、その魔王と戦ったことで“理の剣”が語りだしてくれました」


「なるほど。その魔王は今はどうなっている?」


「封じられたままです」


「うむ」


 教皇は少し考えたそぶりを見せた。


「本当に封じられたままなのですか?」


「というのは?」


「魔王側、もしくはあなた達でその魔王の力を利用しようとしてませんか?」


 教皇は冷たい目でこちらを見つめてきた。その目には怒りにくるっていた。


「だとしたら、どうします?」


「魔王は滅ぼすべきものです。だから、滅します」


「では、その魔王がすでに魔王出ない場合はどうします?」


「何を言っているのかわからないのですか?」


「その魔王がただの魔剣に作り替えられ、エネルギータンク代わりになっているとしたら?それでも滅ぼしますか?他に戦うべきものがあるというのに?」


「・・・・・・」


「私なら、その力を死ぬまで使ってやろうとか思ってしまいますが?」


 それを聞いて、教皇がため息のようなものをついた。


「“理の剣”に対になるような剣が存在するのですね。それを誰が持っているのか知っているようですな」


「はい」


「その剣の持ち主はいったい誰ですか?」


「その者に危害を与えないと約束していただければ、話してもいいですよ」


「お忘れではないですか?あなた方はあの我々では手も足もでなかったバケモノ4体を滅ぼした存在ですよ。しかも、それほど時間をかけることなく・・・」


「わかってます」


「わかってて言っているのなら、勇者様もひどい人だ」


「そうですか?」


 アレスはにっこりと笑った。教皇が女性なら惚れてしまう様な素敵な笑顔だったが、その中には恐ろしいほどの殺意が込められていた。


 教皇は肝が冷えるような気が分になった。


 蛇に睨まれた蛙とはこのことだろう。だが、自分も多くの教徒を抱える聖教の教皇という地位にあるものだ。これくらいのことで、引いてしまうようでは彼らに示しがつかない。


 教皇はしっかりとアレスを見返す。それを見て、アレスは満足したのか、どうかはわからないが、話を続けた。


「なので、我々よりも、ネヴィルという若者に力を貸してほしいです」


「セイラ殿に付き従うものの名前でしたね。彼女もレミア殿と同様に・・・なるほど、その旅を“神殺しの剣”のための旅にするということですね」


「そういうことになります。彼らにも話はしていますし、聖女様もご存知だと思います」


「なるほど、では私たちはそちらの支援をしましょう」


 教皇は隣に座っている男を見つめた。“光の戦乙女の契約者”と言われている男、メディシン卿だ。


 メディシン卿は特に言葉を発することなく、静かにこちらを見つめているだけだった、それだけなのに、何か恐ろしいものを感じた。


 何が怖いのかわからない。


 ただ、この男に挑むのはやめておけと本能が告げていた。


 この気持ちは、この男の義兄である“嵐”とも出会った時には感じなかったものだ。


 自分は教皇である。気が向けば、万の兵を向けられるというのに、この男には逆らうなという気持ちがあふれてきている。


 信じられないことであるが、あの勇者よりも強いのだ。


 というか、実際の報告では、夫婦でバケモノを短期間に2体倒している。圧倒的なものだったらしい。


 天から光が注いだと同時に怪物が一瞬のうちにバラバラにされていたとか・・・


 “王竜の契約者”、“勇者”も大概なのだが、それ以上のバケモノが目の前にいる。


 本来、“聖女”もそれに並ぶはずの存在だったが、“聖女”も“七星”も“炎帝”もこの男に及ばないとも言われている。


「所で、あなた方で一番強いのは誰です?」


「“勇者”です」


 メディシン卿はアレスが言う前にすぐに言った。教皇はその言葉を信じる気にはならなかった。


 何故なら、メディシン卿は二人で怪物を倒したのだ。他が協力してもらって1体倒している間に、2体を倒したのである。それだけでどれだけ強いのか計り知れない。


 それでもメディシン卿はそう答えた。


「“理の剣”だけではありません。“勇者”アレスはしっかりと訓練をしているので、そうそうに初撃では倒れません。初撃で倒れなければ、我々の負けです」


「なるほど」


「これは仮定の話です。条件が少々違うのなら結果は違うかもしれません」


 メディシン卿は笑顔で言った。


「わかりました」


 教皇はそれだけいうと、そこは引き下がった。この男の機嫌を損ねるのはあまりいいような気がしなかった。


 “魔王”や“勇者”という存在よりも恐ろしい気がした。こんなものを抱える国の気が知れなかった。


 いや、この男の本質に気が付いていない可能性すらある。何せ、この義弟にして、あの義兄だ。


 “嵐”というビックネームの裏で、こんなバケモノが存在していたことに恐怖しか感じない。


 絶対に敵対してはいけない。そして、敵対した場合、速やかに排除しなければならない。そういう存在なのだ。これらは・・・


「では、そろそろ行こう」


「ハイ」


 メディシン卿はゆっくりと立ち上がって言った。


「我らが家族を狙えば、待つのは死のみです」


 静かに物騒なことを言った。


 教皇は首を振った。


「わかりました」


 静かに頷いた。


「私も兄と同様に静かに家族と暮らせればよいのです。あなたがのパワーゲームに興味はないのでご安心を・・・」


 メディシン卿はそういうとゆっくりと歩き出した。アレスもそれに静かについていく。


 二人は教皇を見ることはなかった。


「敵にならないだけで良しとするしかないですね」


 教皇は静かに呟いた。


 我ながら、なんとも情けないと思いながらも・・・


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