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感情複合バッドステータス13

 相も変わらずお姫様お姫様な態度を取っているありすに、堪らずそんな愚痴を溢した。

 心の中で舌を鳴らして、唇から顎へと横断している迂闊な言葉を、慌てて手の甲で拭う。

「は? あたしはいつだって一軍じゃん?」

「イケメンをラーメンのメニューだと勘違いしてそうな英語力のなさだそりゃあ」

 僕の突っ込みに、ありすは「そんなことないもんっ」とのたまい唇を(すぼ)める。

 というか、こいつが阿呆で本当に良かった。

 ――いやそれも、記憶の一部を代償にした偽者がなせる(カルマ)故……、か。そうじゃなかったら僕の言葉にボケを返すほど、ありすというおにゃのこは愚鈍ではないですからねぇ。

「ねぇ、コーヒーコーヒーコーヒーまだぁ?」

「へいへい。只今、お持ちに馳せ参じますよ」杞憂をポケットの最奥に仕舞い込んだやさぐれ執事は、パンツのポケットに右手を仕舞ったまま横着にも左手でカップを牽引するのでごぜぇます。「お待たせしました、おぜうさま。ご所望のアメリカン、グラン・ギョニール仕立てでございます」

「まあ、コースターにだだ漏れているコーヒー汁が、まるで血生ぐささを演出しているようで素敵だわ」つつつい、と膨れっ面でコーヒーを僕の元へスライドさせるありすさん。高評価のわりには僕の淹れたコーヒーはお気に召さなかったようで。まあ、僕に漸近する度に、縁から吐瀉を散見させているのだから嫌悪するのは仕方のないことだけれど。「淹れなおせ」

「んもうっ――我儘(わがまま)さんなんだからっ」

「誰が我儘か。明らかに淹れすぎだろこれ……」

「へいへい。とびっきりのやつ(こしら)えさせてもらいますよ」

 表面張力が作用して憚らないコーヒーカップを黙って受け取り、自分の席へと移動させて、それから再びコーヒーメーカーと対峙する。胸キュン(ストレス的な意味で)させる悪魔が再び鎌首を持ち上げないよう念じつつ。コーヒーメーカーの分解能を大人しく見守った。

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