9/26
想い 9 天邪鬼
何故、素直になれないのだろう。
頬を撫でて通り過ぎる潮風に
私は一人振り返る
君を好きになった理由を
箸の持ち方が育ちに出ていた
少しおっちょこちょいで、目が離せなかった
誰にでも優しく
空気を読んで輪に溶ける君に、嫉妬さえしていた
黒く、長い髪が風に揺れて
いつもパンツスタイルの君が眩しかった
あの頃の君の笑顔が、夜空に浮かぶ
今の彼女を傷つけたくはない
でも、もう一度逢いたい
私の人生からいなくなった君に……
テレパシーのように想いが届くなら
君のことを強く思い描いてみよう
そして君は、近づいてくる
予想もしなかった言葉を胸に秘めて
心のどこかで期待していた
でも受け止められない君の告白
『ずっと、好きでした』
一メートルの距離から
私を見詰めて、言ったとしても
『君のことは、友達でしかなかった』と
嘯くだろう
涙をにじませ背を向ける君の後ろ姿に
『……本当は、君が好きだった』と
天邪鬼の私は、呟くだろう
もしも、潮風に乗せて言えたなら
きっと、君の胸に届いたのに
お読み下さりありがとうございました。




