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神スキルストアで楽々異世界ニート生活 ?  作者: 荒三水
二章

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80/87

使い手はゴミだがさすが聖剣……。

 ぶぉん、と剣に振り回されている感満点で、俺は盛大に空振りした。


 結局そんなに不意でもなかった俺の不意打ちは、マシューにいとも簡単にかわされた。

 これは恥ずかしい。

 

 だが相手はいきなり出現したイケメンに面食らっているようだ。

 マシューは一度距離を置くようにして、バッと飛び退いて身構える。


「ぬっ、キサマ、どこから、どうやって現れた!?」

「今のは隠し超絶レアスキル、瞬間移動スキルだ」

「瞬間移動? なんだそれは? その割に肝心の攻撃は非常に低レベルだったようだが」


 まあ、本当はずっと一緒にいたんですけどね。空気なだけで。


 にしても何かすっかり忘れていると思った。

 俺は剣を扱う技能スキルを何も持っていないため、ステータスが上がろうと剣さばきは素人同然なのだった。


 俺のハッタリが効いたのかアホだと思われたのか、すぐさま控えていた手下らしき二人の魔族が、前に飛び出してマシューを守るように立ちはだかる。


 マシュー同様、揃ってスーツのような服を身に着けていて、さながらSPのようだ。


 どうやら、というか完全に奇襲は失敗した模様。

 横でアムが盛大にため息をつく。


「誰がそんなヘロヘロな素振りを見せろと言ったのじゃ? これだから童貞は……」

「童貞は今関係ないだろ! だいたいお前がもっと引きつけないから……」

「ふん、どの道今のじゃあ無理無理。ヤツのスピードはかなりのもんじゃぞ」


 確かにあの野郎かなり素早い。

 マシューは状況がわからず混乱しているようだったが、今のやり取りを見て確信したように声を荒げた。


「その感じ……やはりアムリルか!」

「なんじゃ? 様をつけんかこのボケ」


 こっちはもはや隠す気がない。

 まあバレているみたいだし、ここまで来たらもう一緒だろう。

 

「よくもやってくれたのうマシューよ。ホレホレ、そいつが持っとるのはお前の大好きな聖剣じゃぞ~? 身悶えろ~」

「聖剣? ……ふっ、それが何か?」


 マシューは薄ら笑いを浮かべて、平然と立ちつくしている。


 あれ? そういえば聖剣の匂いは通じないのか?

 前回は膝もガクガクになって涙目になっていたはずなのに。


「どういうことだ? 効いてないのか?」

「なるほど……やはりか」


 アムには心当たりがあるようだが、思い返すとたしかにおかしい。

 城に入ってからというもの、魔族たちが聖剣にあまり反応を示していないような。


「ええい、ならばゴリ押しするまでじゃ! 今こそ歩く魔族殺しを解き放つ! トージ、レナと一緒に一気に畳み掛けるんじゃ!」


 アムはぱっとレナの背中に張り付き、結んだ縄をなにやらゴチャゴチャとやる。


 だが縄が解けるどころか、レナはバランスを崩しびたんと地面に倒れた。


「あいたっ!」

「ありゃ? おかしいのう、ここをこうすると一発で解けるはずなんじゃが……」

「いたいいたいいたい!」


 解けるどころか、ギリギリと縄が締まっている気がするのだが……。

 ここで変なプレイをおっぱじめるのはやめてくれ。

 

「レナハート様、ここが踏ん張りどころですぞ!」


 セバスが立ち上がり、なぜか興奮気味に声援を送ってきた。

 お前は何を応援しているんだ。さっさと解くの手伝え。


 パーティーの知能が低すぎて戦闘にすらならない。

 対する相手は寸分のスキもない上に、仲間を呼ばれたら非常に厄介だ。

 

 マシューはこちらのひどい有様を見て、血色の悪い唇を歪ませる。


「クックック、これはこれは愉快。だが今そんなお遊びに付き合っているヒマはないのでね。お前たち、アムリルと聖女は生け捕り、その男はいらないので聖剣だけ奪って、ヒマを持て余している魔族たちにくれてやれ」


 俺の扱いだけひどい。

 このままでは魔族たちのオモチャになってアーッされてしまう。


 こうなったら、なにか速攻で神スキルを探すしかない。

 縄を解く? 攻撃を当てる? おっぱいジジイを黙らせる?

 

 いや待て、それより今まで落としたスキルで、使えそうなのなんかなかったか?

 俺はウィンドウを開いて、ダーっと取得済みスキル一覧をスクロールさせる。


 ……あ、これすっかり忘れていた。

 これまでこんなご大層なスキルを使わなくても、楽々いけちゃったもんだから。


 ああでもないこうでもないと緊縛プレイをするアムたちを放って、手下の魔族二人がじりじりとこちらににじり寄ってくる、

 

 片方は何やら念じ始めて、魔法でも使いそうな勢い。

 しかも心なしか半笑いで、完全になめられている。


 忘れていたとはいえこちらもナメプになっては申し訳ない。

 なので俺は前方注意をした後、ためらいなく真・聖光神烈斬のスキルを発動した。



 ――カッ、ズゴォォォォッ!!


 

 聖剣から光がほとばしる。

 やたら眩しい。

 

 こうなると思ったのですぐに目を閉じると、ガシャ、ガシャアアン! と色々と物が壊れるような音がした。

 

 位置的にはしっかり魔族に直撃したと思うが……どうかな?

 

 少し嫌な予感がしながらも、おそるおそる目を開ける。

 

「ぎ、玉座がぁっ!?」


 セバスの悲鳴。

 

 なるほど、見てみれば玉座がひっくり返ってバラバラになっている。

 さらに壁にぽっかり穴が空いてしまった。

 

 金ピカで非常にお高そうな感じだったが……まあ魔族を撃退するためだと説明すれば、王様もきっと笑って許してくれるさ。


 魔族二名は衝撃波で吹き飛ばされたのか、壁際に倒れていてぴくりともしない。

 

「ほう、これはなかなか……」

「すっごぉい、さすがプリンセスナイト!」

 

 アムとレナも、あまりの威力に目を丸くしている。

 

 ステータスが上昇しているおかげか、前回にもましてさらに破壊力が上がっているようだ。

  

 ……ふっ、今回も勝ってしまったか。

 少し予定は狂ったが、これがまさに俺が思い描いていたシナリオだ。


 ついさっき情けない素振りをしたのはただの演出だ。

 こんな強スキルがあるのに忘れていたなんて、冗談に決まっているだろう常識的に考えて。

 

「ぬぅっ、使い手はゴミだがさすが聖剣……」

 

 気のせいかどこかで俺をディスる声が聞こえてくる。

 

 声がした方を追って視線を巡らせる。

 真横にある変なオブジェの上に乗って、こちらを見下ろすマシューを発見した。

 

 三体一緒に吹き飛ばしたと思ったのに、かわされていたらしい。

 なんつーすばしっこさだ。

 

 これはドヤっている場合じゃない。

 スキルはクールタイムに入ってしまってしばらく使えない。


 今の一撃を見て、マシューも相当ビビっているはず。

 ここはハッタリをかまして降参させよう。

 

「ふっ、どうやら命拾いしたようだが……今のはこの俺の108ある神聖剣技の中の一つだ」

「なんだと? くっ……ならば致し方ない、こいつの出番か!」


 マシューは懐から小さな水晶玉のようなものを取り出し、高く掲げた。


 玉が不気味に光ったかと思うと、いきなり床一面に、巨大な魔法陣が現れる。


 そして、ズゴゴゴゴ……とあたり一帯を揺るがす、謎の振動が始まった。

 

「危ないですぞ! すぐに魔法陣から離れて!」


 セバスがここぞと叫ぶ。

 だが割とみんな離れていたので特に問題はなかった。

 

 形成された魔法陣が激しく光りだす。

 するとそこから、巨大な人型のシルエットが徐々にせり上がってきた。

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