25話
短いです。
ハルナさんたちとのダンジョン攻略から、二日がたった。
結局、私のステータスが全てF-になってしまったせいでクリアは断念した。
みんな仲良く始まりの街に戻ったのだ。申し訳ない。
「……暇」
俯きながら、特に意味もなく足をぶらぶらさせる。
暇なんだけど、宿題は終わったし、ゲームはあんまりやり過ぎたくない。
寝ようかとも思ったけど、まだ二時半だから、寝るわけにはいかないしなぁ。
「…………」
ふと、カレンダーを見る。
今日は七月二十八日。
「明後日……かぁ」
口に出してみて、少し憂鬱な気持ちになる。
明後日の七月三十日は、両親が帰ってくる日だ。
この知らせは、夏休み前にファックスで届いた。
どうせまた、黙ってお金を置いていくだけなのだろうけど、それでもやはり気まずいのだ。
それに……
「私、約束破っちゃったしなぁ……」
両親との唯一の約束を、破った。
ほったらかしにしているあっちが悪い。そう自分に言い聞かせてみても、罪悪感は消えない。
だからといって、後悔している訳じゃない。『avil・anel』を始めたお陰で、晴さんとついでに鈴崎君、まだあまり親しくはないけど、ミミルさんに出会えたのだ。
この選択は、きっと間違いじゃない。
「ふぅ……」
深く、深くため息をついた。
やっぱり、寝よう。
そう思い、立ち上がったときだった。
ピンポーン
突然、インターホンが鳴った。
誰だろう。晴さん? いや、あの人はインターホンなんて使わないな。
「はい」
疑問を抱きながら、ドアを開ける。
来客が目に入った瞬間、身体中に電気が走った。
かっちりとした格好の精悍な顔つきの男性と、黒い髪を肩口で揃えた妙齢の女性。
「え? えっ?」
間違えるはずがない。
この二人は……
私の……両親だ。