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束の間の安らぎ

「去年がごくろうであった、戦いが続き疲れておろう、この1年を内政に当てて新たな領地を押さえる」

利根川から東は信廉が宇都宮から押さえさせ、関東は信春と共に私が甲斐と信濃と駿河を共におさめ越中と能登と飛騨は昌豊が、越後は秋山に任せ美濃の一部は諏訪と共に典厩に任せとにかく安定をと、一向宗は加賀との国境で小さな小競り合いをたえずしており佐竹は太田に押し込められ北陽衆は秋山が寝返らせている。

謙信も信玄も出家して小太郎の監視下にあり氏康は居ないので落ち着いて過ごすことが出来た。

「しかし御屋形さま上洛は」

皆したいのはわかるが今のところは奥州をと思っているので、

「急がなくても良い織田にはまだ家臣を押さえるすべもないしな」

父である信秀が亡くなり弟が林と柴田に担ぎ上げられ反抗している状態で美濃の半分を取ったが未だと言うのが報告に上がっている。

「この一年は勝ち取った領地の安定を進め次の戦いに備える良いな」

こうして評定は終わり重臣達はそれぞれの居城へと帰っていった。


「関東では関の全廃を進めるが抵抗は続くな」

自分達の利益になるとわかってはいるが旧来の決まりを変えることに抵抗がある坂東武者のまつえ達に信春も中々に手を焼いており目安箱を設置して話を聞いたりしているが融和出来るのはしばらくかかろうと言うことで家臣総出で領内を巡検することのした。


「兄上、何か不自由な事はありませぬか」

甲府の城が大まかに完成したことにより躑躅ヶ崎の館は寺として兄上が入り時々相談のついでにご機嫌伺いをする。

「太郎の事、本人も武田として生きたいと申しておるのだが」

本当は加賀に行かなければ元服をさせて一門格としてと思ったが父の元で元服しており信龍とも仲が良い、

「しばらくは私の元で信龍と共に育てます」

「手数をかける。ところで本願寺と折り合いをつけてはどうかな」

わたりに船と言いたいが、

「民を良いように使う、坊主は坊主らしく国の行く末を祈っているなら話し合いをしてもよろしいが」

「具体的には」

「一向一揆をやめると言うこと」

利権が絡んでおり支配権と言うのを放棄させることは無理なので提案すると、

「伝えるだけ伝えるがそれを飲めばなんだな」

そう言われて同意した。

「しかし父上を追い出すはずが二人揃って追い出されここまで領地を広げるとはな」

大まかに相手を知っていると言うことの利点と歴史の流れを味方につけてきたがこれからは未知の領域で何が起こるかわからない、

「安定で満足して良いのか天下を取るか迷いますが」

「相変わらず欲のない、今なら旗をたてられよう」

兄上ならば間違いなくと思いながら、

「背中を静かにさせねば、信廉が宇都宮で野心を持ってくれれば葦名や伊達に好き放題はさせないとは思いますが」

「その方よりも小心だからな、兄弟でも違うから」

そう笑うと、

「信廉の筆頭家老として秋山を入れればその後には高坂を」

「さすがは、そうします」

そう言って話し合いを終えた。


「すまぬが信廉のしりを叩いて佐竹やその他の豪族を平らげてくれ」

そう言うと北陽衆との戦いでは交渉で戦闘は殆んど起こらなかったので嬉しそうに頷くと昌信に後を任せ宇都宮へと向かった。

清水の港や江戸から各地へ商業の流通も道の整備や関の撤廃などで活気づき戦乱を逃れた民も移住してきており開墾なども積極的に行っている。

「織田の中で当主と弟の争いが大きくなっております」

信長も美濃を攻略する10年で家臣を教育し統率してきた、だからこそいきなり増えた領地に家臣を配置するが旧来の考えの家臣団にはうつけについていけない、逆にわが武田家はそれぞれに目標と法を与えてその中で独自に動くことを是としていて育っている。

「援軍の依頼がくれば直ぐに出せるように、まあ独自で行うだろうそうしなければこれから先戦い抜くこともできまい」


「加賀の様子を見続けておりますが本願寺と地元一向宗の坊主そして門徒が互いに争っているようで」

「やはりな、しばらくは様子を見て門徒がみかぎると同時に攻め込め」

昌豊に命じて越前攻略も視野に入れる。

「佐渡の金山銀山共に順調に、伊豆の土肥も同じく」

小太郎からの報告に余剰の金は堺に投資しており利益で鉄砲や火薬等を買い占めている。


「たまには子供達との時間を」

春日と諏訪が子供達を連れてくる。

「そうかすまん、ようやく一息つけたからな」

名前は太郎と次郎と名を付け太郎は武田の棟梁になるための教育を、次郎は諏訪の跡取りだが何かあればと言うことで同じような教育をさせていく、

「もう少し大きくなれば馬にも乗れよう」

そう言ってそれぞれに馬を与え普段から野山を歩かせて健康に留意させている。

「父上ありがとうございます。次郎ともともがんばりまする」

太郎の言葉に頷きながら久しぶりに親子で話をして過ごした。


「宇都宮がもめていると、秋山と旧宇都宮の家臣がか」

どこ吹く風の態度で突き進む秋山に反発しており信廉が押さえきれぬと、

「毒殺をしようとする一派も」

呆れてしまい小太郎に秋山の手助けと不満分子は富山に転封を命じることも考える。

「家臣もどんどん移動させ土着を失くさせる様にせねばならぬな」

自分も江戸に新しく城をたてて移動を考えており先ずは駿府にと言うことで直属の家臣達にも命じる。

「これは仮、何れは京にも移住してもらうことになるぞ」

不満な家臣にはとどまれば加増はしないし躑躅ヶ崎での集住、甲府城への移動そして駿府へと移動させ譜代への支配を進める。


この年は道の整備や宿場整備、治水の確認等を忙しく行いながら経済を進めていき表面的にせよ新たな領地の運営をすすめていた。


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