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午後2時30分

 日曜日

 午後2時30分

 花神楽ロイヤルホテル

 タワーウイング3階 ロイヤルホール

 

 400坪のフロワにシャンデリアを配し、等間隔に小さな照明が配置されている。シャンデリアの下には巨大なテーブルがあり、様々な料理の皿が置かれていた。丸いテーブルがフロワの至る所に配置され、ステージには5体のマネキンが置かれている。ブランドの最新デザインを身に着けた人形たちはウィッグもカットやメイクを施されている熱の入れようだ。どれも花をモチーフにしたデザインで統一されている。

 10代後半から20代を顧客にした『ハニーガール』は本来アメリカ発のファッションブランドであるが、最近は世界各国の市場を開拓するつもりらしく、日本でも限定デザインの販売などがニュースで取り上げられている。

 直樹はステージに飾られた5体のマネキンを1体づつ撮影した後、周囲で忙しく動きまわる関係者の動きに目を走らせた。

 

「結構な気合いの入れようだね。こんな小さいホールでやるって言うから、どんなもんかと思ってたけど」


 彼の言葉に答えたのは横にいる瑠美だ。

 

「今回は関係者のみのショーですからねぇ☆」


 来賓者の顔ぶれをチェックしていたリアトリスが直樹と瑠美を見る。


「そもそも八幡ホールディングの女社長は西野コーポレーションの社長夫人と仲が良いっていうじゃないですかぁ」


 瑠美が頷いた。


「今回の日本限定デザインはエルシー・西野のお気に入りのデザイナーに作らせたっていいますしねぇ。新デザインを花モチーフで統一してるから、花神楽でショーをするって話ではありましたけどぉ☆」


 直樹が今度は別角度からマネキンを撮る。


「まあ、本命はライセンス契約の『ハニーガール』じゃなくて、自社ブランドの『HIMEGAMI』の方でしょ。今回のイベントは小規模ファッションショーの前例を作るのが目的だと思うよ。ハニーガールで成功したデザイナーなら自社ブランドでも使いやすくなるしね」


「今回の最高責任者は副社長ですし、これだけお膳立てしといてエルシー・西野のスケジュールとあわないってのが不自然ですからねぇ☆ 『HIMEGAMI』のほうはあわせてくるんですよね?」


「そのつもりなんじゃないですかねぇー? あっちは社長が自分で指揮とるつもりだって話ですし」


「今まで服飾関係は旦那に任せてきたのに、どういう風の吹き回しだろうね」


「副社長派手好きですからねぇ☆ 好き勝手やらせてたらいくら黒字だしても会社が潰れるって話ですよぉ☆ 婿養子の舵取りは大変ですねぇ☆」


 関係者顔負けの会話を繰り広げる3人の高校生に周囲の視線が集まっている。彼らは大人達の視線などどこ吹く風で、むしろどんな人間が自分たちを見ているか観察する余裕があるようだった。

 

「まあ、知り合いの店長に頼まれてるし。しっかり仕事しようか」

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