不滅なる者
アラデスク達が敗れた後、ビックバンの様な黒い爆発と共に、宇宙に煌めいていた数多の星々は、その輝きを失い宇宙は完全なる暗黒に包まれた。
「エリディアンはこれで滅んだ......いや、エリディアンだけでは無い。宇宙に存在するありとあらゆる生物......種族は全てこの闇に飲み込まれた」
「これが......この様な結末が......ありえると言うのか.......?」
メルターは自らの見た光景を信じられずにいた。
「言ったであろう。あくまで1つの未来だ。まだ防ぐ手立ては残っている」
「オロニアルよ。お前はこれを防ぐ事は可能だと思っているのか?」
「可能性は限りなく低い......だが、やらねばならぬのだよ。我らスヴァールクスこそが宇宙の覇者であると知らしめてやろうでは無いか!」
「まぁ、この様な結末を知った以上、協力を辞めるわけにも行かぬな。共に成功の為、全身全霊で臨むとしよう」
ーー
「以上が我らの出会いであり、オロニアルと私が......シオ......貴方を作った理由だ」
メルターはこれまでの行動をシオとゼータヘッグに語った。
「世界の......終末......ねぇ。正直信じ難い事だけど。マルドゥークが私に意識を飛ばし続けてたのもそういうことだったのね」
「お、おい!その前に聞き捨てならん事がある!お前の言う未来とやらはシオ様が敗れると言うのか!?」
ゼータヘッグはメルターへ問いただす。
「なら、負けなければ良いだけよ。ゼータヘッグ、あまり興奮しないの......」
「し、失礼しました。つい......」
ゼータヘッグは一歩下がり、謝罪した。
「これはあくまでオロニアルが予見した一つの可能性です。ですが、気を付けるに越した事はない......とだけ」
「まぁ、薄々感じてたけど......だとしても私のやる事は変わらない......それが......私に託され......受け継がれてきた願いだから......」
「ゼータヘッグ......貴方は私の事を最強だと思っているんでしょう?」
「勿論です!故に私はシオ様に着いていくと決めています」
「ふふ......元気が良いわね。でも私は最強であっても、無敵ではないの......無敵の存在とというのは今も、そしてこれからも現れる事はないでしょう。それは歴史が証明してるから......」
「でも、私は負けるつもりは無いし、負ける気もしないわ。スヴァールクスが宇宙の覇権を掴む為にこれからも戦い続けるわよ......この宇宙は誰にも渡さないわ。マルドゥークにも、エリディアンにも、そして他の誰にも」
「ははっ!」
ゼータヘッグとメルターは力強く返事をして、周りの言葉を喋れないスヴァールクス達も同時に平伏して、シオの事を新たな指導者と認めたかの様だった。
ーー
シタデレはイーダ達を引き連れてイルメグ星に戻り、王宮の発着場に着陸した。
「さて......お前......じゃなかった。スヴェート......だったか、あの2人を連れてこい」
シタデレは機体に装着されてるAIのスヴェートに問い掛けるが、反応が無かった。
「あん?故障したのか?......面倒だが直接行くしか無い様だな」
シタデレはめんどくさそうに操縦席から立ち上がり、奥の部屋へ向かった。
「おい、お前ら着いたぞ。さっさと降りろ......って何やってんだ?」
シタデレが部屋のドアを開けるとイーダとシャナそして反応しなかったスヴェートが文字通り目を回しているかの様な状態だった。
「ねえねえ、スヴェートさんが好きな動物って何?私はパンダさんが好き!」
イーダは無邪気な笑顔でスヴェートに好みを聞くが
「えぇと......好きな......好きな......動物......ですか......この場合は......その......えっと......人間は......動物だけど......この場合は含まない......と思うので......その......」
スヴェートは今まで使用されなかった弊害から感情などを読み取る能力が著しく欠如しており、1人でブツブツと呟きながら回答を思考していた。
「おい!2人ともさっさと降りろって言ってるだろ!そしてお前は操縦者である私の命令を無視するな!」
シタデレは少し声を荒げてスヴェートに怒鳴りつけた。
「ハッ......大変申し訳ございません。私のメモリの容量配分のミスにより、操縦者のシタデレ様の命令を処理しないというあってはならない事をしてしまいました。2度とこの様な事がないよう再発防止に努めて参ります!」
スヴェートはシタデレに居直り土下座すると勢いで謝罪の言葉を述べた。
「機体に取り付けられたAIとして操縦者の命令は最優先事項だとお前のメモリにも保存されているだろうが!」
「仰る通りでございます!大変申し訳ございません!」
シタデレが更に言おうとしたその時
「お前じゃないですよ!スヴェートさんって言ったじゃないですか!」
「そうだよ!せっかく名前を決めたのに!」
2人がそれを遮った。
「分かった分かった。悪かった......ええい、もう良い、次から気を付けろ。そして早く降りろ、もうイルメグに到着してるんだ」
調子が狂ったシタデレはそのまま部屋を後にしようとした。
「え!到着したんだ!ここにお姉ちゃんが居るんですよね?早く会いたいなぁ......」
部屋から出ていく直後に聞こえたその声にシタデレの胸は少し痛くなる、イーダの姉であるシリウスは確かにイルメグにいる。しかし生きているとは言えない状況であり、何よりその様な状態に追い込んだのは自らである事を言い出せずに居た。
「くそっ......!最近は煩わしいことがこれでもかと起こりやがる!早く任務を終わらせてゆっくりしたいものだ」
シタデレは1人で静かに呟いた。




