Cycle1? Day1 9.1 月曜日 二度と得難い穏やかな一夜
Cycle1? Day1 9.1 月曜日 二度と得難い穏やかな一夜
日が暮れるのはやけに早い。八番目の選択問題で頭を悩ませているうちはまだかろうじて明るかったのに、十一番目の選択肢Bに差し掛かったときには、もう真っ暗だった。姜来は目をこすり、顔を上げて時計を見る。十七時四十五分。第一陣の食事のベルはすでに鳴り響き、上の階からは地響きのような駆け足の音と、机や椅子が擦れる重苦しいゴロゴロという音が伝わってくる。
彼は目の前の答案用紙に視線を落とす。これは今日の午後に配られたばかりの、他県の模擬試験問題で、練習用として扱われたため、解答と解説も一緒に配られていた。あと八分で、彼が所属する第三陣のベルが鳴る。
彼はできるだけ平静を装って解答用紙を抜き出し、赤ペンで答案に丸付けを始める。七番は計算ミス。八番は当てずっぽうで外れ。十番は選択肢を一つ多く選んでしまった。姜来は思わずため息をつく。本当に試験一ヶ月前になって、八番目の問題を克服できるのだろうか?
姜来は何気なく隣の席に目をやると、隣の席のやつが英語の読解問題を解いているのが見えた。自分の英語はそいつにさえ及ばないことを思い出し、自分も問題集を出そうかと思ったが、すぐにその考えを打ち消した。まあ、少しだけ息抜きをしよう。
どうせ、英語の成績を上げるには、まだ二百七十日以上もあるんだ。
ペン先が計算用紙の余白へと伸びていく。ゆっくりと彷徨い、自由に跳ね回る。黒と白が織りなす、彼の想像上のメロディー。彼は円を一つ、また一つと描いていく。もっとも「円らしい」円を描きたかった。
第二陣だ。
姜来は穏やかに想像を終えた。隣の席のやつは、まだ無限の読解問題に没頭している。
やがて、第三陣のベルが鳴り響いた瞬間、みんなが次第に加速するロケットのように飛び出していき、数人だけが、切り離された燃料の空タンクのように教室に取り残される。みんな家から戻ってきたばかりなので、誰も慌てて大画面を起動してゲームのログインをしたり、動画を流したりはしない。彼は淡々と、あらかじめ巻いておいた煎餅を取り出す。中には煎餅に巻くのに一番適した、干煸肉絲(ピリ辛炒め肉の細切り)が入っている。
彼は別に辛いとは感じなかったが、こういうものを食べ終えた後は、どうしたって腹痛からは逃れられない。
こんな美味いものを味わっている時に、もし何か別のことをしなければ、時間と唐辛子に対する冒涜というものだ。香ばしく乾いた唐辛子が砕け、塩味の効いたサクサクの豚肉細切りが噛みしめられて油の香りを爆発させるその時、姜来の目は解答解説を見つめている。煎餅の小麦粉の香ばしさが、干煸肉絲の味の後ろからほんのりとした甘みを貼りつける。まだ頭に残っていた高一の生物の知識が、これはアミラーゼの功績だとささやく。何はともあれ、姜来は選択肢を一つ多く選んでしまったその選択肢が正しいと思えてならなかった。この問題、どこかでやったことがあるのか?彼は注意深く問題文を読む。きっと、以前やった問題と非常によく似ているが、いくつかの部分でデータか図形が変えられているのだ。
彼は過去の答案の束を引っ張り出し、その元の問題を探し始める。データと図形こそ変えられているものの、全体の考え方と解答の手がかりは基本的に変わらないはずだ。あの時、解けたということは、この問題が難問ではないことの証明だ。
ただ――忘れるのがあまりにも早すぎる。姜来は次々と多肢選択問題を流し見ていくが、どうしても元の問題を見つけられない。確かに一度やっているのに……どうやら正解したせいで、すぐに頭の隅に追いやってしまったらしい。
ちっ。
どうやら、うっかりなくしてしまった何枚かの中にあったらしい。
彼は隣をチラリと見る。隣の席のやつはまだ戻っていない。後ろを振り返っても、やはり知っている顔は席にいない。
姜来はため息をつき、なんとか気持ちを沈めると、答案を片付け、煎餅を食べ終え、地理の問題集を取り出す。夜の自習時間、一限目は地理で、二限目は数学だ。
「夜の十時。」
彼の心臓は思わず速くなる。
「夜の十時、ここで待ってる。そういう約束だからね。」
彼は帰省中に見たアニメの最新話を、なぜか急に思い出していた。ヒロインが主人公にそう言い残して消えたのだ。そして主人公は、ついさっきまで彼女と並々ならぬ波乱を経験したばかりだった。
主人公は待ち合わせに行ったのか?遅刻したのか?そんな疑問が、「降水が豊富で水資源に恵まれている」といった解答用語と共に心に浮かんだ時、姜来はこの時間の授業がもう頭に入らないことを悟った。一話と、まだ観ていない二話がある。これはどう見ても現代もののアニメで、そこにいくつかのファンタジー要素が加わっている。昼と夜の温度差が大きいため、植物の光合成が活発で呼吸作用が弱く、糖分が蓄積され栄養価が高い。ヒロインの振る舞いは明らかに人間じゃない。でも、ヒロインよりも、短い黒髪でスタイルのいい幼なじみの女の子の方が、彼の好みど真ん中だ。谷間の地帯に位置し山谷風の影響を顕著に受け、昼間は谷風、夜は山風が吹く。
鉱物資源が豊富で、鉱物資源の一次加工を通じて一次産品を生産し、市場に供給することで始動資金を獲得でき――
主人公もめちゃくちゃだよな。まだ中学生で、しかも体育特待生でもないのに、運動能力も全体の体格も中学生とは思えない。
地元の人材を育成し、外資を導入して開発を促進し、技術水準を絶えず高め、工業団地を設立し、近代的な産業システムとベルトコンベア式工場を建設し、大量の雇用機会を提供し、経済を牽引して――
はあ。
もう終わりだ。
人生、終わった。
向こうじゃ中学生のうちに部活に入ってたくさんの人と知り合っている。たとえアニメの筋書きだとしても、なんで俺はここで夜の十時二十分まで勉強して、それから十時半にはイビキをかき始めるか、他人のイビキを聞きながら朝の五時二十分に起きて、五時三十五分には教室に入って朝の読書を始めなきゃいけないんだ。
たとえアニメじゃなかったとしても、日本の高校生ってあんまり寮生活しないんだろ?向こうの放課後の時間は、疑いようもなく俺たちより早いよな。ああ、まあ、向こうの競争のプレッシャーだって俺たちに全然劣らないんだろうけど。でも、どう考えたってこれはあまりにも異常すぎる。せめて、自暴自棄になる権利くらい認めてくれたっていいじゃないか。
まあ、俺は――絶対に諦められないんだろうけどね。こんなにたくさん勉強したけど、それが何の役に立つのかもわからない。
まだ二百七十九日もある。
姜来は、奇妙な力がこめかみの両側を圧迫し、それから背骨に沿って体の中へと沈み込んでいくのを感じた。彼は身震いを一つし、胸の奥に一筋の電流が走る。四十九人の生徒、二千九百四十冊の教科書と問題集、そして少なくとも一万千七百六十枚の答案用紙がひしめくこの教室で、彼に残された時間は、たった三千九百六時間しかない。
西ヨーロッパのほぼ全域が西岸海洋性気候である。これは、ヨーロッパの入り組んだ海岸線、起伏の少ない平坦な地形、そして東西に走る唯一の山脈であるアルプス山脈が季節風の影響を全く妨げられないために、その影響がヨーロッパにおいて特に顕著になるためである――――――
ジリリリリ。
彼は我に返った。徐承宇がすでに席に戻っている。姜来は先生がまだ来ていないことに気づき、すかさず肘で隣のやつを何度か小突いた。「お前、あの数学の問題用紙やったか?」
「やったよ。なんだよ。」
「十番の問題、わかるか?」
「解答と解説があるだろ?」
「読んでもわからなかったんだよ。いいから教えろよ。」
「お前、本気か?もう地理の時間だぞ。お前は地理が得意だから聞かなくてもいいけど、俺は聞かなきゃいけないんだ。」
「なあ、心当たりないか。前に似たような問題、やったよな。」
「今までどんだけの量をやってきたと思ってんだよ。そりゃ確かにやったさ。見つからなかったのか?」
「問題用紙を何枚かなくしちゃってさ。」
「わかったよ。」徐承宇は自分の過去問の束を引っ張り出し、バラバラとページをめくり始めた。「ちゃんと先生の方を見張っててくれよ。」
姜来は半ばうつむき加減で、ドアの外を窺う。
「ちっ……ねえな。」
「お前もなくしたのか?」
「うん、たぶん前にやった合同模試の問題だろうな。あれはやり終わったらすぐ答案回収されたから、もう印象にないんだよ。」
徐承宇は呆れたように言った。姜来は少しイライラしていた。確かにやったことがあるはずなのに、なんでどうしても思い出せないんだ?
地理の先生はすぐに来た。姜来は緊張して彼女の話を聞いていたが、この時間は問題演習にして明日解説すると言ったとき、ようやく胸を撫で下ろした。これでようやく、先ほどまでやっていた答案を閉じ、解説の言葉を組み立てるのをやめられるのだ。
本当のことを言うと、彼は地理がとても好きだった。だが地理は、理科系の道に進んで初めて研究できる分野だ。おそらくこれが、彼の人生で地理とかかわれる最後の時間なのだろう。
彼は淡々と問題集を引き寄せ、水循環の問題に取り掛かり始めた。
この夜は、これまでと同じく緊張と重圧に満ちているが、それでもどこか穏やかだった。ただいつも通りに、気を張っていればいい。これはただの、高校三年生にとって最も普通の夜だ。これまでの無数の夜と何も変わらず、これから先の二百四十七の夜とも、きっと変わらないだろう。
彼はそう思いながら、地理と数学の時間を過ごした。何もなければ、この二百七十九日間も、きっとそうやって過ごしていくのだろう。
だが、どうあれ、これは二度と得難い、穏やかな夜だった。
中国の高校に関する設定
1. すべての中国の高校が、作中の第十八中学のようなスタイルというわけではない。 中国には日本式の高校や、より自由な校風の高校も存在し、それなりの割合を占めている。しかし、より一般的に見られるのは、作中のような高校である。また、中国のインターネット文化において「高校生活」として語られるイメージの多くは、第十八中学のようなスタイルだ。
2. この種の高校では、携帯電話をはじめとする一切の電子機器の持ち込みが禁止されている。 校内での連絡手段は、設置された公衆電話のみに限られる。
3. 中国の高校は、その大部分が全日制の寄宿制学校である。 多くの場合、寄宿は強制であり、通学を申請することは難しい。
4. 高校内部のクラスは「平行クラス」ではない。 入学当初から明確に「優れたクラス」と「劣るクラス」に分かれており、教育資源もそれに応じて傾斜配分される。
· 「清北班」:最上位クラス。「清華大学」「北京大学」という中国の頂点に立つ二大学への合格を目指す予備軍的なクラス。
· 「奥賽班」:上位クラス。学科オリンピックに出場できる能力を持つ生徒が集められるクラス。
· 「平行班」:普通の生徒による普通のクラス。クラス間の上下関係はない。
· 「吊車尾班」:一般的に、クラス番号が最も大きいクラスを指す。最下位クラスとして、生徒の質・成績ともに最も低い。
5. 中国の学習システムにおいて、文理選択は極めて重要な分岐点である。 日本のように比較的穏やかなものではなく、非常に強硬なものだ。たとえるなら、日本の文理選択は「公園の中を散歩する」ようなものだ。多くの小道があり、どの道を通っても最終的には公園の外へ出ることができる。一方、中国の学習システムにおける文理選択は「Y字路」のようなものだ。一度どちらかを選べば、引き返すことは難しく、その後の進路に決定的な影響を与える。しかも、二つの道は互いに通じ合ってはいない。




